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Vol.21 東芝の新IoTアーキテクチャー「SPINEX」登場 産業界のビジネスモデルを変える、日本発のデジタル革新

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#02 IoTによる見える化・遠隔監視を素早くスタート お客さまのビジネス革新を加速する「IoTスタンダードパック」 株式会社東芝 インダストリアルICTソリューション社 IoT事業開発室 IoTコンサルティング&事業開発部 IoT商品・サービス推進担当グループ長 深澤 滋

生産性の向上や品質の改善を図るため、工場内にIoT*ネットワークを張り巡らし、機器や設備の状況をリアルタイムに見える化する。このような、製品を作る局面での「ものづくりIoT」とともに、産業機器などの導入先での状況を把握する、製品が使用される局面での「フィールドIoT」を実現することは、製品の価値向上と新規サービスの創出によるビジネス変革を目指す製造業にとって、必須の課題となりつつあります。東芝のクラウドサービス「IoTスタンダードパック」は、東芝IoTアーキテクチャー「SPINEX」のコンセプトはそのままに、フィールドにおけるIoTの導入を迅速化。グローバルでの広域な見える化と遠隔監視を最適なランニングコストで実現できる、画期的なサービスとして注目を集めています。

* IoT:Internet of Things (モノのインターネット)

SPINEXのアーキテクチャーを取り入れ、
IoTの迅速な導入を実現

産業機器などの製造に携わるお客さまにとって、導入した先(エンドカスタマー)での機器や装置、設備の安定した稼働と保守コストの削減、メンテナンスの早期化は非常に大きな課題です。特にグローバル化が進む現代において、「見える化」の実現は、お客さまの製品や事業の付加価値を拡大するために必須の条件。国内はもとより、エンドカスタマーの世界各地の工場で、自社の機器や装置に何が起こっているのかをいち早く把握できる環境が整えば、製品ライフサイクルの継続的な最適化が実現することはもちろん、製品と連携したエンドカスタマー向けの新たなサービスを創出する可能性までもが見えてきます。

その具体策として期待されているのが、機器の詳細な見える化とリアルタイムな遠隔監視を容易にするIoTの活用です。しかし、IoTの環境を整備するためには、機器の見える化に関する高度なノウハウはもちろん、グローバルに展開された装置やデバイスから対象とするデータを選択、収集し、効率よく蓄積して高い精度で分析する仕組みづくりなど、さまざまな事前準備と多くのエンジニアリング作業が必要です。このように、広域な監視にも耐え得るグローバルなIoTシステムを構築しようとすれば、導入から実稼働までに膨大な時間とコストがかかってしまうという課題がありました。

この現状を打開するため、東芝ではSPINEXとして結集した高度な技術と知見を基に、工場やビルといったフィールドで稼働する産業機器や装置の見える化と遠隔監視を行うIoT基盤を短期間で提供するクラウドサービスを開発。機器の接続から、データの収集と蓄積、稼働状況の可視化、運用サポートまでをオールインワンパッケージとして月額制で提供する、見える化・遠隔監視サービス「IoTスタンダードパック」を2016年7月に発表しました。国内や海外の各拠点に点在する膨大な装置の見える化と遠隔監視の環境を、グローバルネットワークを介して素早く最適なランニングコストで実現できる点が高く評価され、発表以来、数多くのお客さまに活用していただいています(図1)。

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グローバルな見える化・遠隔監視を容易にする
3つの特長

IoTスタンダードパックには、3つの特長があります。

1.クイックスタート

管理や監視の対象となる装置種別の属性情報やインターフェース、データ種別の情報などをテンプレートとして準備。これらを活用することで、これまでお客さま自身が行っていた装置や収集するデータの検討、デバイスの手配といった事前に必要な準備作業を一掃します。また、東芝で動作を検証済みの機器をエッジゲートウェイにつなぐだけで、自動的にIoT基盤との接続を行う「プラグ&プレイ機能」を提供。構築に伴う作業から各種エンジニアリング作業までを、大幅に軽減することが可能です。システムの検討開始から最短で4週間というわずかな期間で、IoTによる見える化と遠隔監視をクイックスタートすることができます。

2.エッジコンピューティング

SPINEX(株式会社東芝)の中核的な特長であるエッジコンピューティング技術を取り入れました。エッジ(現場)側とクラウド側で協調分散処理を行うことで、エッジとクラウド間の通信量を抑えてネットワーク全体の負荷を低減。用意されたエッジゲートウェイで異常を検知できる環境を整え、状況に即したアクションが高速に行えます。またエッジ側のデータ保護が行われるため、セキュリティの面でも安全です。

3.優れた操作性

装置を監視する画面をあらかじめ用意。UXデザイン*(株式会社東芝)の手法を採り入れ、見やすさや、直感的な使いやすさにこだわりました。トレンドグラフやアラート、現在の計測値など、各種指標の表示をわかりやすくレイアウト。問題点やパフォーマンスの状態を管理者とオペレーターがスムーズに共有しながら、機器の安定した稼働を見守ることができます。また、装置やプラントの場所を地図上にマッピングし、エリア内の状態を鳥瞰(ちょうかん)できる画面も用意。広域な管理に役立てることができます(図2)。

IoTスタンダードパックでは 、ヘルプデスクサービスも標準で用意しています。問い合わせやトラブルの相談をメールで受け付け、ネットワークやソフトウェア、ハードウェアなどそれぞれ専門とするメンバーへの速やかなエスカレーションを実施。迅速な回答と対応により、見える化・遠隔監視システムの長期的な安定稼働をサポートしていきます。

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製造業の幅広いお客さまが採用
フィールドIoTによる革新を実現

深澤 滋

現在、製造業を中心とした数多くのお客さまが、IoTスタンダードパックを活用した広域な遠隔監視を実施。エンドカスタマーの世界各地の工場に納入した機器の故障検知や予兆保全、品質向上や製品ライフサイクルの最適化などに役立てられています。

ある産業機械メーカー様では、新製品の出荷にあたり、IoTスタンダードパックによるグローバルなIoT基盤を構築。世界各地で稼働している製品からデータを収集して蓄積し、稼働の状況を見える化するとともに、迅速な故障検知と早期メンテナンスに生かすことで、製品の継続的な安定稼働を図られています。

さらにある工作機械メーカー様では、製品のトラブルを未然に防ぎ、予防保全を実現するためのIoT活用ソリューションの強化にあたり、IoTスタンダードパックを採用。機械の状況を「見える化」するエリアをグローバルに拡大した新たなサービスを開始される予定です。

発表以来、順調に導入が進むIoTスタンダードパックですが、私たちは決して満足していません。ここで紹介した導入事例以外にも、さまざまな産業や社会のあらゆるシーンにおいて、その真価を発揮できるサービスであると自負しています。IoTを導入したいが、何から始めればよいかわからない。見える化や遠隔監視を始めたいが、導入するまでの期間やコストが気になる。グローバルに展開された各拠点の機器をつなぎ、IoTでビジネスモデルを革新したい。そんな課題をお持ちでしたら、IoTスタンダードパックをぜひご検討ください。

※この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2017年7月現在のものです。

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