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Vol.30 働き方の革新と豊かな暮らしをRECAIUSが実現 人とAIのつながりがもたらすデジタル社会

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#01 生産年齢人口の減少を乗り越え、いきいきとした明日へ RECAIUSが実現する働き方の革新と豊かな暮らし 東芝デジタルソリューションズ株式会社 小山 徳章

デジタルに期待されることは、その力を最大限に活用し、実世界を理解、分析してそれを実世界にフィードバックすることで、新たな社会的価値を生み出していくことです。しかし、目の前には乗り越えるべきいくつもの社会課題があります。中でも少子高齢化による生産年齢人口や熟練労働者の減少は、これまでの社会システムを揺るがしかねない深刻な課題を引き起こす要因となっています。東芝デジタルソリューションズはこれらの課題への対応に、半世紀にわたり培ってきたメディアインテリジェンス技術の結晶である東芝コミュニケーションAI「RECAIUS(リカイアス)」を提供。労働生産性と働きがいを向上させ、人々の生活を豊かに快適にする取り組みを進めています。AIの力で多様な人がいきいきと自分の役割を全うし、一人ひとりの自己実現が社会全体の幸せにつながっていく。そんな新しい豊かさを目指したRECAIUSの画期的な技術開発と事業展開について、ソリューション事例とともにご紹介します。

AIブームと働き方改革の本質

「人工知能(AI)」という言葉を聞かない日はないほど、現在は「空前のAIブーム」です。世間には人工知能に関するさまざまな情報があふれ、あたかも人間レベルの知能を持った機械(AIロボットなど)と共存する世界が既に現実化しているかのような錯覚すら覚えてしまいます。ビジネスの現場においても、「AIを活用して業務効率を上げよう」「AIを使って新しい商品を開発しよう」といったAIに対する期待の声を、当たり前のように耳にします。

こうした大きな期待の背景には、ここ数年の社会状況の変化があります。サイバーフィジカルシステム(CPS)やIoTの発展に伴う情報社会の大変革が進む一方で、少子高齢化に伴い生産年齢人口や熟練労働者の減少が深刻化しています。

フィジカル空間(実世界)とサイバー空間が相互に連携した社会(CPS)が目指すもの。それは、実世界にある多様なデータを収集し、サイバー空間で分析することで新たに生み出される価値を、生活や産業の発展に役立てることです。しかし、CPSやIoTは、進化するのと同時に膨大なデータがあふれる複雑な世界を生み出しています。私たちが、これら膨大な情報の整理や取捨選択、複雑な状況判断をAIに担わせたいと考えても無理はありません。

また専門機関の推計で、2010年から2030年にかけて生産年齢人口がおよそ16%減少すると試算されていることからも、AIへの期待に拍車がかかっています。「長時間労働の是正」や「ワークライフバランスの充実」といった言葉で語られることの多い「働き方改革」ですが、その本質は、働く人一人ひとりが持つ「社会や人に貢献したいという想い」を大切にし、働きがいを持って、持続的に、効率よく働ける環境を実現していくことにあるといわれています。

そのためには、複雑な業務プロセスを的確に分析し、膨大な情報の整理や取捨選択といったコンピューターが得意とする業務をAIに担わせ、一人ひとりの労働時間は自分本来の役割を生かせる業務に存分に使えるような働く仕組みに変えていくことが大切です。自分本来の役割を生かせる業務に注力できるようになれば、労働生産性は飛躍的に高まり、職場における一人ひとりの自己実現や働きがいを高め、人材難の現代において企業が持続していくための大きな力にもなるでしょう。さらに、熟練者の高度な状況把握と判断が求められるような場面でAIを活用できれば、彼らの頭の中に蓄積しているノウハウを消失させることなく、いつでも誰もがAIで熟練者のノウハウを活用できるようになります。業務経験や能力、国籍などが異なる多様な人員構成の職場においても、常に高度な事業活動を維持し遂行できるのではないか。そんな期待も広がります。

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AIを現場で活用するための第一歩

小山 徳章

「AIに任せれば何でも解決してくれる」という期待は、残念ながら現実と大きなギャップがあります。現在のAIが得意なのは、あくまでも「情報の分類」です。本当に必要なデータが大量にあれば、AIはそのデータを元に解の可能性を多角的に洗い出し、人を超える精度で情報を分類して、最適な判断につながる情報を人に提供できる可能性を秘めています。ところが実際の現場は、AIに十分な分類を行えるところまで学ばせるほどのデータが収集できていない環境にあります。

例えば、営業活動や保守点検、接客や介護・看護といった多くの現場では、業務中や作業中に両手がふさがっているケースがほとんどです。彼らには、その場で起きていることや気づきをタイムリーにモバイル端末などに記録したくても、手を使うことが難しくその場で記録できないといった「情報入力への障壁」があります。また、文書やマニュアルに書き留められた記録にも、熟練者が判断した背景にある知識や細かなノウハウまでもが盛り込まれているとは限りません。

こうした状況を打開するのが、人の発話や行動の状況を理解し、その意図に沿いながら、必要なナレッジをわかりやすく伝えて人々の活動を支援する東芝コミュニケーションAI「RECAIUS」です。

RECAIUSはまず、「現場での情報入力の障壁を下げる」ことに重きを置きます。RECAIUSのAIアプリに向かって自然に会話するように話すだけで、「現場で何が起きているのか」「何に気づいたのか」といった情報を手軽に入力できる、音声入出力インターフェースを実現。作業する手を止めることのないハンズフリーかつ自然な話し言葉で、誰でも状況を正確に記録できる仕組みを用意しています。役割の異なる複数の人が働く現場で、従業員同士が、いつ、どのような会話を交わしたのか、その時に何が起きていたのか、といった「人と人」との、「人とシステム」との現場のコミュニケーションを、RECAIUSは簡単に記録に残すことができます。

これまで集めることが困難だった良質な生の現場の情報を手軽に集めることができるという、AIの能力を存分に活用させるための第一歩を、RECAIUSがお手伝いします。

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働き方の革新、そして生活の快適化へ

働き方改革の本質は、一人ひとりの労働時間を、自分本来の役割を生かせるようなものに変えていくこと。そのためには、働く人々の「時間を生み出す」ことが重要となるため、現在の業務プロセスを見える化し、労働時間の圧迫要因の分析、AIで代替できる要素の発見、AIを使った手順の簡素化といった業務プロセスの改革を進める必要があります。

RECAIUSの音声入出力インターフェースを活用して現場の情報入力の障壁が下がることで、現場の生きた「コミュニケーションデータ」が集まります。これまでは、人が感覚的にしか理解していなかったコミュニケーションを、そのとき現場で何が起きていたのか、余剰な作業はなかったのか、より良くするにはどのような報告が必要だったのか、といった分析ができる「説明変数」と「数値表現」に転換することで、コンピューターが数理学的に扱える分析アプローチに置き換えることができます。RECAIUSはこの転換をAI技術で実現。「RECAIUS コミュニケーション・ナレッジ・プラットフォーム」として開発を進め、複数のお客さまの現場で、お客さまと共に活用を開始しています(図1)。

図1 RECAIUSで良質な現場の情報を集め、業務プロセスを改革。働き方の革新へ

現場のコミュニケーションのデータ化(可視化)によって業務プロセスの課題が明らかになり、情報の整理や取捨選択などの業務をAIに置き換えることで無駄が一掃され、働く人が本来の役割である業務に注力できる環境に変わっていく。誰もが心地よく自分本来の役割を全うできる仕組みづくりにより、働く人のエンゲージメントやモチベーションといった従業員満足度が高まることで、業務品質が向上。それは、企業に対する顧客満足度の向上、さらには売り上げや利益の上昇にもつながっていきます。

こうして従業員満足度と企業の成長、持続性、社会貢献に好循環が生まれ、この好循環を維持した企業がもたらすさまざまな商品やサービスは、生活をより豊かに、快適に変えてくれることにつながるのです。

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RECAIUSがもたらす働き方革新の事例

藤野 剛

いくつかの事例をご紹介します。「RECAIUS フィールドボイス インカム」は、スマートフォンを、インカムやトランシーバーなどの無線機と同じように活用できるようにし、さらに会話履歴を残すものです。複数人でリアルタイムにグループ会話ができ、その会話内容を逐次音声認識して時系列でテキスト化しつつ、それぞれのスマートフォンに配信。音声とテキストでリアルタイムに情報共有できるサービスです。SNS*の画面のように会話の内容や流れがテキストで閲覧できるため、コミュニケーションという切り口から、業務の振り返りや顧客満足度の向上を目指すことができます。

*SNS:Social Networking Service

例えば、旅館やホテルの現場で十分な接客を行うためには、フロントや接客スタッフ、厨房、清掃担当など多くの働く人の間でタイムリーなコミュニケーションが必要になります。しかし、そこには聞き漏れや聞き間違い、聞き直しなどのコミュニケーションロスがつきものです。

ある老舗旅館では、RECAIUS フィールドボイス インカムを使い、館内のあらゆる場所で会話された内容を、各スタッフが持つモバイル端末から、テキストや音声で確認できる仕組みを構築。正確で無駄のない情報共有によるコミュニケーションロスの解消を実現しました。また録音された声はそのままサーバー内に蓄積。可視化されたコミュニケーションデータから応対内容の記録を日々振り返り、「どのように対応すれば、お客さまに喜んでいただけるのか」など、高品質なおもてなしの秘訣となるような知識をスタッフ間で共有することを可能にしました。スタッフがお客さまと接する時間を最大化しただけでなく、これまで記録に残らなかったコミュニケーションを貴重な情報源として活用することで、接客の品質の向上にも大きく貢献しています。

また、営業や保守点検、介護・看護など、忙しく動き回るためにタイムリーで確実な記録が難しい業務に対しても、RECAIUSのAIサービスは業務プロセスの改革を支援します。

例えば、営業担当者がお客さまを訪問した後に、モバイル端末に向かって訪問先や商談内容などを話すだけで、自動的にそれらの内容を分類し、CRM*などのシステムにデータとして登録する「RECAIUS 報告エージェント」というサービスがあります。業務日報や注文入力、保守点検での作業記録、介護記録や看護記録など、多種多様な用途で既に利用されています。

CRM:Customer Relationship Management

万が一、報告者が話し忘れた項目があった場合でも、RECAIUS 報告エージェントが抜けを指摘して内容を確認。パソコンやスマートフォンからテキストで入力する必要はなく、スキマ時間などを使って、声で効率よく正確な業務報告が行え、営業や保守の担当者は安心して自身の本来の業務に集中できるようになります。

また報告対話のシナリオは、一から作成する必要はなく、CRMなどの情報と連携して自動生成する機能を実現。報告して欲しい項目を指定するだけで、事前の設定は完了。現場の情報をタイムリーに収集する環境が整います。

現場で何が起きていて、何を改善するべきかがリアルタイムに可視化されるという、RECAIUSならではの機能が業務品質の向上に大いに役立っています。

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RECAIUS。その先のステージに向けて

「働き方の革新」、そして「生活の快適化」へ。

RECAIUSは、今後このビジョンを達成するまでのシナリオを、4つのステージで想定しています。現在はステージ1の段階と位置付け、音声入出力インターフェースの活用とコミュニケーションの見える化で、多種多様な業種のお客さまにおいて、業務プロセスの改革を支援。働く人の、時間と心のゆとりを創出していきます。

ナレッジとして扱う情報の広さと深さを強化し、状況判断も含めた業務の一部をAIに代替させるステージ2。働く人の本来の役割とAIができる役割を協働させ、働く人が、より人や社会と関わり合える世界を目指します。

そして、AIが人と社会の中に自然に溶け込み、身近なパートナーとして自律的に社会を支援してくれるステージ3。情報があふれ、AIが人の脳を超える転換点といわれるシンギュラリティが迫るデジタル社会で、ゆとりとやりがいをもって働くこと、誰もが手軽に安心して暮らすことができる世界を目指します(図2)。

図2 RECAIUS が目指す進化:多様な人がいきいきと活動する社会に向けて

東芝デジタルソリューションズは、RECAIUSの手軽さと先進のメディアインテリジェンス技術を武器に、現場におけるAI活用をさまざまな業務に広げていきます。コミュニケーションデータをナレッジに変え、これまで多くのAIが十分にできなかった業務プロセスの分析と改革を、RECAIUSのAI技術が支援。働き方の革新に必要な労働生産性の向上と働きがいの実現に役立てます。

現代社会が抱える課題と向き合い、多様な人がいきいきと活動する新しい社会へ。働き方の革新と生活の快適化は、RECAIUSが加速していきます。

※この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2019年7月現在のものです。

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