東芝デジタルソリューションズ株式会社

お客様インタビュー

商業ディベロッパーとして施設の展開を柔軟に行うシステム基盤作りを実現
ショッピングセンター総合管理システム「SXクラウド」

カンパニー:大和ハウス工業株式会社×ソリューション:ショッピングセンター総合情報システム「SXクラウド」
イーアスつくば

テナントの入れ替えを含めた売り場リニューアルのタイミングにあわせ、ショッピングセンター開業当初から活用してきた総合情報管理基盤の刷新を計画。システム基盤がクラウド環境に移行したことで、システムの安定稼働とセキュリティの強化を実現した。ショッピングセンターに欠かせないポイント管理や顧客管理など高度な情報管理基盤をクラウドサービスで支えているのが、東芝テックが提供するショッピングセンター総合情報システム「SXクラウド」だ。ショッピングセンターのシステム展開を迅速に行うためのインフラ作りに、豊富なノウハウを持つ東芝グループが大きく貢献している。

開業から5年が経過し、周辺の環境変化や顧客ニーズに柔軟に応えるためテナントの入れ替えを含む施設リニューアルを計画。同時に、開業以来活用してきた売上管理や顧客管理を可能にしてきた情報管理システムが保守期間終了を控え、システム刷新が求められていた。
四つの施設で利用してきた情報管理基盤すべてを東芝グループが提供するクラウドに移行、顧客情報の安全な管理と柔軟なシステム運用を実現。快適なレスポンスで現場にクラウドを意識させず、またビジネス拡大に合わせ柔軟にシステム展開が可能な情報管理基盤を構築。
導入の背景

ショッピングセンター開業以来の
大規模なリニューアルを計画

 「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、「住まいづくり」「土地活用」「ビジネスソリューション」「グローバル」の四つの領域で事業を展開している大和ハウス工業株式会社。1959年にプレハブ住宅の原点である「ミゼットハウス」を開発するなど革新的な技術で事業を拡大し、現在は外張り断熱の戸建住宅「xevo」を基幹商品に持つ一般住宅のみならず、賃貸住宅や分譲マンション、商業施設など数多くの建築物を世に送り出している。最近では、流通店舗事業として商業施設の建設を行うだけでなく、商業ディベロッパーとして施設の管理運営を自前で行うことで収益を確保する“ストック事業”を強化している。このストック事業として同社が直接管理運営している大型ショッピングセンターの一つが、今回紹介する「イーアスつくば」である。

 “すべてのあなたに、良い明日を。”をコンセプトに、2008年茨城県つくば市に開業した「イーアスつくば」。広域から顧客を集客するRSC(Regional Shopping Center)として同社が初めて手掛けたこの大きな商業施設には、220を超えるテナントが入居、スーパーマーケットや映画館、文化施設、レストランなどさまざまな施設を備えた、北関東でも有数の規模を誇るショッピングセンターとなっている。

 イーアスつくばが開業してから数年を経た現在では、北関東にも同規模の巨大なショッピングセンターが複数開業するなど、以前に比べて競争が激化している状況にある。顧客のニーズに寄り添う施設のコンセプトをさらに鮮明にするためにも、リニューアルも含めたショッピングセンターの大規模な刷新が求められていたとSC事業部 イーアスつくば 支配人 村田 順氏は当時を振り返る。

導入の経緯

四つの施設を順次入れ替える、
大規模なシステム刷新も同時に実施

村田 順 氏

大和ハウス工業株式会社
SC事業部

イーアスつくば 支配人

村田 順 氏

 年間1200万人が訪れる商業施設である同ショッピングセンターも、開業から5年を迎えた2013年に、入居するテナントの入れ替えを中心とした大規模な施設リニューアルを実施することになった。同時に、施設内の重要な総合情報管理基盤を刷新するタイミングでもあったと村田氏は説明する。「実は、開業当初から導入していた総合情報システムの保守がちょうど終わりを迎えていました。来訪者へのサービス向上と入居テナントへのさらなる価値を提供するべく、施設のリニューアルとともにシステムを刷新するプロジェクトをスタートさせたのです」(村田氏)。

 実際に利用してきた総合情報システムは、売上や預託金額を管理するテナント管理をはじめ、会員マスタの作成からポイント管理までを行う顧客管理、決済処理・ポイント処理のリアルタイム処理など、ショッピングセンター業務に必要不可欠な情報管理が実装されているパッケージ。このシステムの保守が切れるタイミングで、新たな環境への刷新が必要となったのだ。

 システム刷新が必要だったのは、実はイーアスつくばだけではない。イーアスつくば開業の前年に、大阪府泉佐野市にある「りんくうプレジャータウン シークル」を開業させている同社。「大阪の稼働以降、イーアスつくばや『イーアス札幌』『フォレオ大津一里山』を順次稼働させてきました。実は、四つの施設とも同じ総合情報システムを利用していることから、保守切れもほぼ同じ時期にやってきます。つまり、この四施設のシステムを一気に刷新する必要があったのです」と語るのは、プロジェクトの旗振り役となったSC事業部 SC事業推進室 課長 矢嶋 健至氏だ。

導入のポイント

セキュリティ強化や将来性から
クラウドへの移行を決断

矢嶋 健至 氏

大和ハウス工業株式会社
SC事業部

SC事業推進室 課長

矢嶋 健至 氏

 この総合情報システムを検討するにあたって同社が注目したのが、東芝テックが開発した業務アプリケーションを、東芝が提供するクラウド基盤上で動かすショッピングセンター総合情報システム「SXクラウド」だった。「実は、イーアスつくばが開業したときから利用してきたICTインフラが、オンプレミス環境で提供されていた東芝テックの総合情報システムだったのです」と矢嶋氏。開業以来安定して稼働してきた実績が、新たな基盤への刷新時にも高く評価され、受注にいたった大きなポイントの1つであったのだ。

 そもそも、開業時に東芝テックの総合情報システムを採用したのは、ショッピングセンターで60%以上のシェアを誇る東芝テックのPOSシステムの実績もさることながら、現場の運用について精通しているということが大きな要因であった。「商業ディベロッパーとして事業を立ち上げた直後だったこともあり、東芝テックが持っているショッピングセンターの豊富なノウハウは私たちにとって、とても貴重なものでした。システムだけでなく、現場の運用も含めた知見を生かせると考えたのです」と矢嶋氏。

 ただ、今回の新たな取り組みとして特徴的なのは、クラウド基盤上で総合情報システムを稼働させるということである。「ショッピングセンターにクラウド基盤を利用するのは、私たちとしては初めての試みでした。費用はもちろんですが、個人情報が格納された顧客管理システムもクラウド上で運用する際のリスクについても、社内の情報システム部門に相談、検討を重ねたのです」と村田氏。最終的にクラウドを採用した理由は、東芝グループへの信頼や高度なセキュリティの実装、そして継続したサポートの面だった。「クラウドで実装されているセキュリティレベルは高く、自社で運用する場合に比べて高度なセキュリティが確保できます。また、システムをクラウドに集約することで窓口が一本化されるため、数年後に改めてやってくるシステム刷新の際にも折衝先が少なくて済み、スムーズに移行できると考えました。将来を見据えての決断だったわけです」と矢嶋氏は振り返る。

 そして、イーアスつくばの総合情報システム基盤として、東芝グループの「SXクラウド」が稼動を開始した。

導入の効果

クラウドを意識させない快適なレスポンスと
スムーズな移行を評価

根本 健 氏

大和情報サービス株式会社
PM事業本部
受託SC運営部

SC会計課 係長

根本 健 氏

 現状は、各テナントに設置している260台あまりのテナントPOSターミナルと連動させながら、東芝グループのクラウド基盤上に展開している総合情報システム「SXクラウド」が運用されている。カード会員は30万人を超える規模となっており、日々の売上管理のみならず、カード会員に向けてインセンティブを提供する際に行う顧客分析をSXクラウド上に蓄積された顧客情報を元に実施している。システムが稼働して以来、安定稼働を続けている状況で、会計業務を担当している大和情報サービスの PM事業本部 受託SC運営部 SC会計課 係長 根本 健氏は「土日の日中など決算処理の負荷が集中する場面もありますが、それでも安定した運用が実現できています。現場はクラウドに移行したことに気づくことなく、以前の仕組みに比べても快適なレスポンスで業務を行っている印象です」と高く評価する。必要な機能だけをマイメニュー登録するなど、現場にも使いやすい配慮がある点も評価の一つだと根本氏は力説する。

 クラウド環境に大きく舵を切った同社だが、その使い勝手の高さに魅力があると矢嶋氏。「保守の面など総合的に判断すると、自社サーバーで運用するよりも高いクオリティーを維持したサービスを提供いただいています。システムが身軽になったことで、今後新たなショッピングセンターを展開していく際にも柔軟なクラウドの強みを生かしていける環境を整えることができました」と矢嶋氏は信頼を寄せる。

 今回は、四施設を順次刷新させていくプロジェクトだったが、その移行についても東芝グループの強さが生かされている。「月末に発生する会計業務に影響を及ぼさないよう、上手に移行計画を立案し実行いただきました。テナントへの事前教育や導入後のサポートなど、しっかりフォローいただくことができて感謝しています」と根本氏は東芝グループのプロジェクト遂行能力を高く評価する。村田氏は「テナントなどへの影響を最小限にするため、端末の入れ替えは一晩で行いました。200台を超える端末の入れ替えからネットワーク接続、稼働確認まで含め、トラブルなく本番を迎えられたのは、東芝グループの総合力だと改めて感じました。お任せしてよかったと実感しています」と村田氏。

将来の展望

業務改善に取り組みながら
業容拡大に向けた取り組みを加速

根本 健氏(左)、村田 順氏(中央)、矢嶋 健至氏(右)

根本 健氏(左)、村田 順氏(中央)、矢嶋 健至氏(右)

 今後について村田氏は、「会社としてストック事業を強化していく中で、今後もショッピングセンターの開発、運営を手掛けていく構想があります。柔軟に展開できるSXクラウドを基盤として採用したメリットは、これからますます出てくるものと考えています。クラウドは新たな展開への強力な武器になることでしょう」と語る。施設同士の連携も含め、クラウドの強みを生かすことで業容を拡大していきたいと村田氏は力説する。

 また、「精算レシートによる売上日報の回収やそのチェックなど、現状は人的リソースを割いての業務が残っており、できればテクノロジーを活用した新たな仕組みも検討したい」と村田氏。「売上管理や会計業務自体は、大和情報サービスに業務を委託している部分もありますが、そこにかかる労務負担を軽減することで、新たな価値創出につながる業務に振り替えていけるような環境を整えていきたい」と矢嶋氏。

 現場についても、さらなる業務効率化に向けた仕組みについて検討したいと根本氏は語る。「買い物券やギフト券の自動集計なども仕組みとして活用できるものがあれば検討したいですね。また、今回新たな仕組みになって、経費コードが広く登録できるようになりました。各施設の経費コードを統一することで、施設全体の数字を横串で見るなど、新たな管理の手法も取り入れていければと考えています」。

 ショッピングセンターの管理運営に大きな効果をもたらしている「SXクラウド」。東芝グループは今後も新たに開業していくショッピングセンターの情報管理基盤の要として、同社のビジネスを情報管理の面から強力に支援していく。


この記事の内容は2015年9月1日に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、組織名、役職などは取材時のものです。

COMPANY PROFILE

会社名
大和ハウス工業株式会社
設立
1947年3月4日
代表者
代表取締役社長 大野 直竹
本社所在地
大阪府大阪市北区梅田3-3-5
事業概要
建築事業、都市開発事業、海外事業、環境エネルギー事業など
URL
http://www.daiwahouse.co.jp/index.html 別ウィンドウで開きます

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