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お客さまインタビュー

アパレル系倉庫業務の効率化を実現
倉庫管理ソリューション「LADOCSuite®

カンパニー:株式会社ビートレーディング×ソリューション:
LADOCSuite R

 ビギグループの流通部門である株式会社ビートレーディングでは、グループ各社が展開するさまざまなブランドの洋服や雑貨を全国の各店舗に効率よく配送するために、静岡県御殿場市を中心に複数の物流センターを稼働している。ここで行われている入出荷およびロケーション管理、棚卸業務に欠かせないWMS(Warehouse Management System)に選ばれたのが、東芝の倉庫管理ソリューション「LADOCSuite®」(ラドックスイート)だ。

グループ会社ごとに異なっていた運用の効率化を計画。また、メーカーごとに個別のシステムを展開していたため、既存倉庫でのシステム全体の刷新も急務だった。BCP対策にも配慮し、パッケージ製品を念頭においたクラウドサービスを要件に、新センターでの稼働も視野に入れた新たな仕組みを検討していた。

東芝の倉庫管理ソリューション「LADOCSuite®」を基盤として、現場運用との親和性を考慮したアドオンやパラメータ設定によるカスタマイズを実施。スキャナの読み取りを効率化し、ロケーション管理を徹底したことで現場の生産性が約20%向上。また、店舗からの問い合わせに対して迅速に回答できる仕組みや、ケースごとの明細情報の提供により、店舗に対するサービスレベルを向上させた。
導入の背景

アパレル専門の物流センターを展開

寺島 啓佑 氏

情報システム部
係長

寺島 啓佑 氏

 洋服の製造・販売から事業をスタートさせ、現在は数多くのアパレルブランドを手掛けながら、カフェやレストラン、ホテル、スタジオなどさまざまな事業を展開しているビギグループ。その中でアパレル専門の物流部門として1985年に発足したのが、株式会社ビートレーディングだ。同グループが展開している40を超えるアパレルブランドの洋服や雑貨を倉庫内で保管し、出荷指示に応じて各店舗に配送する役割を担っている。商品の変色を防ぐため庫内の照明にはすべてLEDを採用、人感センサーのついた空調によって温度変化による影響を最小限におさえるなど、アパレル専門の物流センター特有の工夫が随所にちりばめられている。

 最近では、グループ各社の事業拡大に伴って、取り扱うアイテム数も増加傾向にある。そこで、今後の流通量増大にも柔軟に対応できるよう、御殿場に新たな物流センターの建設を進めている。このセンターは、高速仕分が可能なオートソーターなど最新鋭の装置を備えた施設として、2018年に稼働が予定されている。「新センターで庫内業務を行うための仕組みが必要でした。同時に、これまで運用してきた倉庫管理システムが老朽化を迎えており、何らかの対策が必要だったのです」と語るのは情報システム部係長の寺島 啓佑氏だ。そこで、システム刷新と庫内業務の効率化を目指し、新たな仕組みを構築するプロジェクトをスタートさせた。

導入の経緯

庫内業務の効率化を目指す

中村 嘉志 氏

情報システム部
システムエンジニア

中村 嘉志 氏

 ブランドごとにアイテムが異なるだけでなく、季節によっても商材の入れ替えが頻繁に行われるのがアパレル業界では一般的。また、路面店をはじめ、小規模店舗や大型ショッピングモールでのブランド展開など、店舗の形態も販売手法もブランドごとに大きく異なっているのが現状だ。「入荷する際の商品形状や出荷するタイミングなど、ブランドごとに柔軟な対応が必要なのです」とアパレル業界ならではの現状について寺島氏は語る。

 基幹システムと連携するサーバーや専用線、現場で検品に使うハンディターミナルなどもすべてグループ会社ごとに個別に用意しており、入荷の動き1つとっても各社で運用がばらばらの状態だったという。「メーカーごとに現場の教育を行う必要があるだけでなく、運用が違うためにハンディターミナルなどの機器も融通できない状況でした。あるメーカーの作業が終わっても、他のメーカーのラインに手伝いに行くこともできません。もっと現場の作業が効率化できないものか、長年模索していました」と寺島氏。

 また、各メーカーから個別に提供されていた仕組みでは倉庫業務として不足している部分も多く、同社がオリジナルで開発したシステムを用いて在庫管理を行っていた。「メーカー側の基幹システムで全体の在庫数は把握できますが、それはあくまで営業系の仕組み。入荷情報はデータのところもあれば、紙の伝票で商品と一緒に送付されてくるところもあります。また、庫内のロケーション管理や出荷の仕組みなどの機能が備わっておらず、それらを補うためにも、独自で仕組みを構築せざるを得なかったのです」と情報システム部システムエンジニアの中村 嘉志氏は当時の環境を振り返る。この独自の仕組みが老朽化を迎えたため、システム刷新を計画することになった。

導入のポイント

実績と専門的ノウハウ、クラウドでの利用を評価

 新たな仕組みでは、すでにパッケージとして実績のあるものが良いと考えた寺島氏。そこで展示会に足を運んでさまざまな製品を調査し、具体的な選定に入ることになったという。その中で注目したのが、東芝が提供する倉庫管理ソリューション「LADOCSuite®」だった。「特殊な運用をしているわけではないため、アパレルでの実績があれば大丈夫だと考えていましたが、LADOCSuite®の良さを実感したのは、アパレルではなく別の事例でした。しかし、その事例を見たときに自社の運用がしっかりイメージできたのです」と寺島氏。

 また、中村氏が同グループの店舗システムの構築に関わっていた際に、POSシステムを扱う東芝との取引があったことも大きなポイントだった。「東芝の多くの製品に対して、アフターサービスが良い印象を持っていました。仕組みも高度でサービスも全国に展開しており、現場でのノウハウもある。一番親身に対応いただいたのが東芝でした」と中村氏。さらに東芝は店舗系の仕組みで使うポケットプリンターをはじめ小回りの利くソリューションも数多く取り扱っており、倉庫内でも運用上役立つものが調達しやすいと考えたという。

 LADOCSuite®については、クラウドサービスで利用できる点も評価している。「各メーカーのデータがそれなりに大きいために、トランザクションも考慮して個別のサーバーを立てて管理していました。今回新たに導入しても、また5年後には更新するタイミングが来ますので、その点を考えるとクラウドサービスが最適だと判断しました」。LADOCSuite®であれば、オンプレミスだけでなくクラウドサービスとしても利用可能となっており、同社の要件に合致したという。富士山に近い御殿場という土地柄もあり、BCPの観点からも南海トラフなど地震に対する備えが必要であり、倉庫内にサーバーを設置する環境から脱却すべきだと考えた寺島氏。

 結果として、新センターにも対応可能な、同社の環境に合致した統合的な倉庫管理システムの基盤として、LADOCSuite®が選択されることになる。

東芝の倉庫管理ソリューション「LADOCSuite ®」システム概要図

東芝の音声合成技術
導入の効果

生産性が約20%アップ、作業品質も大幅に向上

鈴木 綾乃 氏

繊維製品品質管理士
主任

鈴木 綾乃 氏

 現在は、LADOCSuite®を用いて倉庫内の入出荷管理およびロケーション管理が可能な環境を整えており、来年度までにはすべてのメーカーをLADOCSuite®に移行していく計画となっている。

 実際の運用については、海外の生産拠点から送られてきた商品をハンディターミナルでスキャンし、そのデータをLADOCSuite®に投入した時点で入荷実績としてメーカー側の基幹システムに登録され、すぐに出荷指示ができるようEDI(電子データ交換)連携が行われている。「洋服は商品価値が短期間であり、すぐに出荷する場合と戦略的に蓄積して出していく場合があり、すべてメーカーの営業判断で行われます。こうした柔軟な運用がアパレルとして大切な点ですね」と寺島氏。

 LADOCSuite®を導入した効果として、既存人員のままで20%ほど生産性がアップし、より多くの出荷指示に対応できる環境の構築に成功している。大きな要因はバーコードスキャンの効率化だと寺島氏は分析する。「メーカーのバーコードが2段になっているため、以前は1つの商品につき2度スキャンしなければなりませんでした。今は1度で読み取れるハンディターミナルのおかげで、スキャン効率が大幅に向上しました」。

 ロケーション管理の徹底も生産性向上に大きく貢献した要因の1つだ。「店舗から返品されたものも在庫として保管することがありますが、この情報を無視して任意の棚に保管してしまうと、庫内全域に同じSKU(在庫管理単位)のものが点在してしまい、あとで探し出すのが困難です。今では、同じ仲間が近くにいるロケーションを格納時に指示してあげることで、効率よく管理できるようになっています。出荷時にも、導線に沿ったロケーション順に指示が出るため、とてもスムーズです」と繊維製品品質管理士で主任の鈴木 綾乃氏は評価する。管理の徹底により、作業しながらロケーションの修正を行うことが可能となった。このおかげで、商品管理の品質が大幅に向上、棚卸作業も効率化することに成功していると鈴木氏は語った。

 さらに、LADOCSuite®は、いつ、何の商品を発送したのかという履歴がすべて管理されており、店舗側からの問い合わせにもすぐに回答できるようになっている。「以前は別のフロアまで出向いてそのメーカーの紙伝票を探さざるを得ないこともありました。今ではLADOCSuite®にすべて情報が一元管理されており、その場で調べることができます」と鈴木氏。

 他にも、今回の仕組みはメーカー側にもメリットをもたらしている。「ケースごとの明細が帳票出力できるようになり、店舗側での検品がしやすくなったと好評です。メーカーからの期待も大きく、はやく私たちにも対応して欲しいという声が届いているほどです」と寺島氏。

 LADOCSuite®導入の過程においては、現場担当者を含めた現場運用とシステムの擦り合わせを何度も実施。その中で、現場運用とシステムの親和性を考慮したアドオンやパラメータ設定のカスタマイズを行った。「弊社の社員食堂の常連になるくらい、現場によく顔を出していただき、細かな要望を聞いてもらっています。現場からも使いやすいと評判です」と鈴木氏は東芝の対応を評価する。現在は、メーカー側でもシステム統合が進行中であり、倉庫内業務と合わせてインフラの最適化が進められている状況にあるという。「東芝には、すでにメーカーサイドにも積極的に足を運んでいただいています。基幹システムの動きに合わせて、倉庫管理システム側でも柔軟に対応していきたい」と中村氏。なお、日常的なサポートとして、東芝の迅速な対応について評価の声が上がっている。「多忙でも予定を何とか調整して頂き、対応してもらえたのはとてもありがたい。営業や技術の方を含め、とても信頼しています」と寺島氏。

将来の展望

新センターも含め、メーカー全体にLADOCSuite®を展開

中村 嘉志 氏、寺島 啓佑 氏、鈴木 綾乃 氏

(左から)中村 嘉志 氏、寺島 啓佑 氏、鈴木 綾乃 氏

 「すべてのメーカーに対してLADOCSuite®を展開していきながら、現場の方にもメーカーの垣根を超えた新たな運用に慣れてもらえるよう努めていきたい」と鈴木氏は今後について語る。また、新たに稼働する物流センターでは、自動仕分を行うオートソーターとLADOCSuite®の連携も予定している。「今のセンターと新センター、そしてメーカー側と接続するネットワーク構築も東芝にお願いしています。LADOCSuite®の連携で、さらなる効率化に結びつけたい」と中村氏。さらに、グループ会社の物流だけでなく、グループ外へのLADOCSuite®展開についても視野に入れている。

 効率化につながるロボットやRFIDによる一斉読み取りなどのデータを活用するためのIoT技術を生かした新たな物流ソリューションにも期待を寄せている。「読み取り装置などの調査を進めながら、すぐにでもLADOCSuite®と連携できるよう準備しておきたい」と寺島氏は語った。

 同社の生産性と効率をアップさせたLADOCSuite®。連携によって物流センターの可能性をさらに広げていくことだろう。

この記事の内容は2017年6月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における主な数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。

COMPANY PROFILE

会社名
株式会社ビートレーディング
設立
1985年(昭和60年)
代表者
代表取締役 武内 一志
本社所在地
東京都目黒区青葉台1-19-7
事業概要
物流業務、資材販売業務、流通センター運営業務、納品代行業務、照明器具販売業務、洋蘭小売業務、印刷業務、コンピュータシステム販売業務、倉庫業(中運交物 第192号)
URL
http://www.btrading.co.jp/ 別ウィンドウで開きます

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