東芝デジタルソリューションズ株式会社

お客さまインタビュー

“人間味のある”対話を「RECAIUS™」で具現化
訪日インバウンド対策に有効活用

カンパニー:くまモンスクエア × ソリューション:コミュニケーションAI「RECAIUS 音声トランスレータ / 同時通訳サービス」
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 全国を飛び回る人気キャラクター「くまモン」の活動拠点として熊本県が設置する「くまモンスクエア」には、台湾や中国などアジアを中心とした多くの訪日外国人が訪れ、オープンから4年あまりで170万人を突破した。くまモンスクエアでは、タブレットを利用した同時通訳の仕組みや多言語対応されたデジタルサイネージによる観光案内、そしてWi-Fi情報をベースにしたビッグデータ分析サービスを展開している。そこで活躍しているのが、東芝が提供している音声認識や口語翻訳、音声合成を活用した同時通訳技術「RECAIUS™ 音声トランスレータ」だ。

訪日外国人が多く訪れる熊本県では、多言語対応を含めたインバウンド向けの円滑なコミュニケーション環境の整備が急務となっていた。なかでも、アジアを中心に人気を誇るくまモンの聖地として名高いくまモンスクエアでは、世界中から多くの来場者が訪れており、コミュニケーションを深めて旅の魅力度を高めるための施策が求められていた。さらに2019年には、2つの国際大会が熊本県で開催予定のため、自治体としての充実した対応も視野に入れる必要があった。

東芝は同時通訳技術「RECAIUS 音声トランスレータ」のくまモン版や、4か国語に対応した大型のタッチパネル式デジタルサイネージ、Wi-Fiを利用したビッグデータ解析の仕組みを提供。訪日外国人に対し、同時通訳をはじめ、地域の情報を各言語の地図や写真を交えて紹介することで、訪問者へのサービスが向上し、スタッフにも安心感が生まれた。

導入の背景

世界中の観光客が訪れる「くまモンスクエア」の実情

磯田 淳 氏

熊本県知事公室
政策審議監

磯田 淳氏

 2010年に熊本県庁が実施した「くまもとサプライズ」キャンペーンにおいて熊本県のPRキャラクターとして誕生し、今では“熊本県営業部長兼しあわせ部長”という肩書を持つ「くまモン」。知事直結の知事公室がくまモンのマネージメントを行っている状況にある。九州新幹線開業に向けて熊本県の認知度を高めていく活動の中で脚光を浴びたくまモンだが、今では熊本県の認知度を高める活動をグローバルに展開し、熊本県を世界に発信する強力なコンテンツの1つとして幅広い分野で活躍している。

 そんなグローバルな活動を続けるくまモンの活動拠点として中心的な役割を果たしているのが、物産や観光情報などを提供する施設「くまモンスクエア」だ。熊本城や阿蘇の自然と並んで、訪日外国人が数多く訪れる人気観光スポットとなっており、熊本をダイレクトに体感できる“くまモンの聖地”として知られている。年間40万人ほどの来場者数を誇っており、その多くが台湾を中心に上海、香港、中国本土、韓国、タイなどアジアを中心とした訪日外国人だ。「大規模な団体客だけでなく、FITと呼ばれる個人旅行者も急増しており、SNSや口コミなど、さまざまな経路で情報を発信する人も増えています。このような背景もあり、くまモンスクエアがInstagramなどで紹介され、結果として聖地巡礼として人気を集めているのが現状です」と語るのは、くまモングループの責任者にあたる熊本県知事公室 政策審議監 磯田 淳氏だ。

導入の経緯

急増する訪日外国人に対するインバウント対策

 日本全国で訪日外国人が急増するなか、熊本県では「ラクビーワールドカップ2019」や「2019年女子ハンドボール世界選手権」などスポーツに関する大きな国際大会が予定されており、さらなる訪日外国人の増加が見込まれている。そのため、観光部門で語学研修や文化、対話の違いを学ぶセミナーなどを通じて、インバウンドの対策強化を進めている。しかし、コミュニケーションに関しては一朝一夕で習得できるものではなく、すぐに十分な環境が整えられていない状況が続いていた。

 一方で、現実的にはものすごい勢いでインバウンドが増えており、観光施設やホテルだけでなく、さまざまな施設に多言語対応などのニーズが高まっている状況にあると磯田氏は語る。「SNSが広がったことで、ごく普通の飲食店に訪日外国人があふれかえることもあります。観光のプロだけが語学に堪能であればいいという時代ではありません。県内のあらゆる施設で、訪日外国人と気軽にコミュニケーションできる環境づくりが求められているのです」。

 そのような状況の中、2016年に発生した熊本地震による被災地復興のために熊本県を訪れた東芝から、インバウンド対策に役立つコミュニケーションAI「RECAIUS」に関する技術が紹介されることとなる。



導入のポイント

多言語対応によってスタッフの不安を軽減できる

 RECAIUSは、音声認識をはじめ、音声合成や翻訳、対話、意図理解、画像認識といったメディア知識処理技術を組み合わせた学習型のコミュニケーションAIである。さまざまな用途がある中で、訪日外国人が自国の言葉で話しかけると、的確に音声を認識したうえでその意図を理解し、必要な言葉を合成して自然な会話で返答してくれる“同時通訳”が可能になる仕組みとして多用されている。「お客さまの言っていることが理解できるというのは基本的なインフラだと考えていますが、多言語対応することが難しく、思慮していました。このRECAIUSであれば、接客時などコミュニケーションが必要な場面で、活躍してくれると感じたのです」と磯田氏は語る。

 特に多くの訪日外国人の方が訪れるくまモンスクエアであれば、役立つシーンが容易に想像できると磯田氏。「私たちは、くまモンとの共有空間をどんどん広げていきたいと考えています。多言語対応は大変重要なファクターです。RECAIUSを用いることで訪日外国人とのコミュニケーションを深める一助になると考えたのです」と語る。

松本 通崇 氏

株式会社アドコム
代表取締役社長

松本 通崇氏

 実際の現場では、英語が話せるスタッフが1名常駐してはいるものの、中国語や韓国語を話す訪問者への対応は難しい。くまモンスクエアの指定管理者として企画運営業務を手掛けている株式会社アドコム 代表取締役社長 松本 通崇氏は「日本を訪れて下さる方には、まずは日本語で話しかけるのが私たちの考えるホスピタリティです。お客さまから英語で尋ねられれば、スタッフも英語でお応えします。英語が通じない方であれば、スマートフォン内のアプリを利用して翻訳することで、何とか意思疎通をするような状態でした」という。

 それでも、施設側として多言語に対応できる環境が十分ではない現状を踏まえ、スタッフの不安を少しでも取り除くことができるツールとして、導入に踏み切る決断をしたという。同時に、日本語はもちろん、英語、中国語、韓国語に対応した大型のタッチパネル式デジタルサイネージも新たに展開。さらにWi-Fiを利用したビッグデータ解析の仕組みも合わせて、音声認識や口語翻訳、音声合成を活用した同時通訳技術「RECAIUS 音声トランスレータ」くまモン版を展開するプロジェクトがスタートしたのだ。

導入の効果

コミュニケーションAIが人間らしさを演出するテクノロジーに

写真:RECAIUS 音声トランスレータ」くまモン版」のアプリケーションが搭載されたタブレット

 現在は、「RECAIUS 音声トランスレータ」くまモン版のアプリケーションが搭載されたタブレットをレジ横に設置し、訪日外国人とのコミュニケーションの際に活用している。また、多言語対応したタッチパネル式デジタルサイネージも4カ国の言語で周辺情報を検索できるようになっており、日々多くの方が画面に触れている状況だ。「タッチパネルの良さは使うハードルが低く、誰にでも触れてもらいやすいこと。そこで幅広く情報を取得し、さらに会話が必要な場合はRECAIUSを使っていただくことができます。さまざまな手段でコミュニケーションを図ることができ、とてもありがたいです」と磯田氏は評価する。また、Wi-Fi機能がオンになっている旅行者のスマートフォンなどの端末から、以前通過した国の情報や地点が分析できるビッグデータ分析サービスも今回のプロジェクトで実装されている。訪問者の傾向によって施設における対策を検討することができるようになるなど、さらなる情報収集とその分析に期待が集まっている。

 同時通訳技術を備えたRECAIUSについては、もしもの時の受け皿としてスタッフの不安感を取り除くことにつながっており、「本当に何かあったときの切り札として、RECAIUSが安心材料になっている面があります」と松本氏は評価する。施設内で、くまモンのショーが開催される時などには多くの観光客が一気に押し寄せるため、遠くから足を運んでいただいても入場制限がかかることもある。そのような時には、ショーに関する注意事項などを各国の言語で書いたボードを掲げて対応するが、個別での説明が必要な場合には、RECAIUSが活躍する。

 磯田氏は「相手と双方向でやりとりするコミュニケーションの手段としてタブレットを活用できるのは大きいです。きちんと相手の話が聞けて、必要な情報をお伝えできることはとても大事なことであり、地元の地図や情報をその国の言葉で表示するのは、海外の方にも一目瞭然なので、大変良いことだと思います」と評価する。特に旅という観点では、現地の人から直接得る情報で感動するなど、コミュニケーション1つでその旅の価値や思い出が変わってくる。「現地で出会う人や思いもよらない食事など、終わってみないとその良さが分からないのが旅の魅力。その価値を高めることができるのが訪問者と地元でお迎えする人とのコミュニケーションであり、RECAIUSはその場面で大いに期待できるツールです」と磯田氏は力説する。

写真:4ヶ国語に対応したデジタルサイネージ

 4か国語に対応したデジタルサイネージについては、熊本県の観光・物産に関する情報や周辺地図案内、よく聞かれる質問などが表示されており、タッチパネル下部から言語を選択することで各国の言葉で情報が表示されるようになっている。「多言語対応になったことで、くまモンスクエアから水前寺公園までの道順を調べるといった、周辺エリアの観光情報などの入手に役立てていただいています」と松本氏。

 今回のプロジェクトについては、ICTを活用した一般的な同時通訳とは異なる仕組みに大きく期待していると磯田氏は語る。「例えばショーの時など、司会の方の個性やその日の天気によっても言い回しが異なります。RECAIUSがコミュニケーションAIという学習型の仕組みだからこそ、個性に応じた同時通訳が可能になると考えています。コミュニケーションは決まりきった対応では厳しいものがあります。実は人間的であるからこそITが生きてくる。 “人間味のある”コミュニケーションができることが重要であり、このプロジェクトに大いに期待する部分です」と磯田氏。

将来の展望

RECAIUSの適用範囲を拡大、ボーダーを超えるソリューションに期待

 現在は、インバウンド向けの施策だけではなく、くまモン自体が世界に進出し始めているが、その際にもRECAIUSの活用場面があると磯田氏は示唆する。「くまモンは基本的に喋らないノンバーバルなコミュニケーションが中心ですので、一緒に行動している“くまモン隊”と呼ばれるスタッフとともに、多言語に対応したコミュニケーションができるような仕掛けがあればとてもありがたいです」。

 特にコミュニケーションを妨げるものには、言語の壁はもちろん、時間や場所も存在している。「インバウント対応ついては全国の自治体も同じような課題を抱えていらっしゃると思います。コミュニケーションを円滑にするためにも、これらのボーダーを超えるようなソリューションに期待しています」と東芝に対する期待を語る磯田氏。また、デジタルサイネージについては、地元ならではの情報や、そこに来たことで得られるローカルな情報などのコンテンツを増やしていき、さらに活用の場面を広げていきたいと松本氏は語る。

 他にも、くまモンの活躍の幅を広げるべく、活動研究のために自治体と民間企業にて組織された「くまモン共有空間拡大ラボ」、通称“くまラボ”が県庁内に設置されている。東芝はこの活動に参加しており、RECAIUSはもちろん、東芝のさまざまな技術を応用してくまモンの認知度をさらに高めていきながら、熊本地震による被災地の復興を支援していく予定だ。「今後も、くまモンというプラットフォームの上で熊本県の認知度を高め、世界中の方に熊本県を訪れてもらえるような活動を積極的に行っていきたい。それが県民の皆さんの幸せにもつながると信じていますし、RECAIUSを生かして、さらに東芝と新しいことに一緒に挑戦していきたいですね」と磯田氏は熱く語る。

 “人間味のある”対話を実現する東芝コミュニケーションAI「RECAIUS」。インバウント対策をはじめ、さまざまな対応に幅広く活用できるコミュニケーション基盤として、熊本県をはじめ多くの自治体に役立つソリューションとなっていくことだろう。



この記事の内容は2017年10月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における主な数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。

COMPANY PROFILE

施設名
くまモンスクエア
設立
2013年7月
本社所在地
熊本県熊本市中央区手取本町8番2号
事業概要
熊本県の観光・物産情報発信機能をもった交流スペース
URL
https://www.kumamon-sq.jp/ 別ウィンドウで開きます

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