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お客さまインタビュー

市議会の発言の書き起こし作業を効率化
RECAIUSがもたらす新しい働き方

カンパニー:札幌市議会事務局議事課 × ソリューション:コミュニケーションAI「RECAIUS 音声書き起こしエディタ」

 札幌市議会事務局では、委員会開催日に職員が手分けして発言の書き起こしをしていた。作業には膨大な時間がかかり、業務の効率化が課題となっていた。同局は効率化を図るため、2018年2月の予算議会で東芝のコミュニケーションAI「RECAIUS 音声書き起こしエディタ」(以下、RECAIUS)の試用を開始。発言時間の約半分の時間で書き起こしができるようになり、職員の作業時間も削減することができた。同局は働き方に変化をもたらしたRECAIUSを正式に導入することとなった。

毎年2月の予算議会、9月の決算議会で開かれる各特別委員会での議員の発言の書き起こし作業を職員が手分けして行っていた。作業には発言時間の倍の時間がかかり、それをもとに委員長報告を作成する職員も作業が終わるのを待たなければならず、業務の効率化が課題となっていた。

2018年2月の予算議会でRECAIUSを試用した際、認識率が高く、書き起こし作業にかかる時間も発言時間の半分で完了させることができた。その結果、業務が効率化され、職員の作業時間が減少。正式に導入を決定し、2018年5月から利用を開始した。

導入の背景

予算・決算特別委員会の発言の書き起こし作業時間短縮が課題に

田口 繁治 氏

札幌市議会事務局
議事課長

田口 繁治氏

 日本最北の政令指定都市で、約195万人の人口を誇る札幌市。横浜市、大阪市、名古屋市に次ぐ規模で、札幌都市圏を形成している。1869年に開拓使によって京都を参考にした街づくり計画が作られ、その後周辺町村を合併、市域を拡大していった。1972年にはアジア初の冬季オリンピックを開催、その後も国際的なスポーツ大会など、さまざまなイベントや大会の誘致を積極的に行い、年間1300万人前後が訪れる観光都市となっている。

 札幌市議会は68名の議員で構成され、市民の代表として、議決権、調査権、監査請求権などの権限が与えられている。市議会は年4回の定例会と必要に応じて開く臨時会がある。また、委員会には常任委員会、議会運営委員会、特別委員会があり、予算や決算の審査の際にも特別委員会が設置され、予算と決算の集中審議を行う。最終日の本会議には委員長が各特別委員会の質疑内容を報告する。「委員長報告には委員会での議員の発言を記録します。ただ私たちの最大の職務は委員会運営の補佐なので、何か突発的なことが起きた時には対応しなければなりません。そのため、議員の発言内容をその場でメモすることはできず、発言を録音して、委員会終了後に職員が書き起こして、報告のベースになる発言記録を作っていました」と札幌市議会事務局 議事課長 田口 繁治氏は語る。

川村 満 氏

札幌市議会事務局
議事課 議事係長

川村 満氏

 特別委員会では1人が何十分も発言するケースもあり、書き起こしに時間がかかっていた。「書き起こし作業には、聞き取りやすい議員の場合でも発言時間の倍以上の時間がかかっていました。この発言記録をまとめた委員長報告を作成する担当職員は、書き起こしを終えた発言記録ができるまで待たなければなりませんでした」と札幌市議会事務局 議事課 議事係長 川村 満氏は説明する。

導入の経緯

手頃な利用料金に魅力を感じ、試用を決定

澁谷 弥生 氏

札幌市議会事務局
議事課 議事係

澁谷 弥生氏

 札幌市議会事務局では書き起こし作業の効率化のため、5年以上前にも他社の音声認識ソフトを試したことがある。しかし、認識率が低く、作業時間もかかったため、導入を見合わせた。そうした中で、2017年秋、東芝の営業からRECAIUSを紹介され、手頃な利用料金だったこともあり、試してみることにした。「導入する機材も必要なく、アップデートも要らないということで、使いやすいのではないかと考え、まずはデモをしてもらうことにしました」と札幌市議会事務局 議事課 議事係 澁谷 弥生氏は語る。

導入のポイント

高い認識率とクラウドサービスの手軽さが決め手

吉田 亮太 氏

札幌市議会事務局
議事課 議事係

吉田 亮太氏

 デモでは書き起こしの精度をチェックするために、くせのある話し方などいくつかのパターンの音声データを用意した。その結果、予想以上の精度で認識できたため、2018年2月の予算議会での試用を決定した。「RECAIUSはクラウドサービスのため、PCやソフトを新たに購入する必要がなく、保守費用もかかりません。東芝から提示された利用料金であれば予算の確保もさほど難しくなかったため、2月の議会で試用することに決めました」(田口氏)。

 改行を補うのみで、ほぼ100%誤りなく書き起こしができた議員の発言もあり、RECAIUSは高い評価を受けた。「議員によって、発言の仕方はそれぞれです。『えーと』や『あのー』など、発話の間のフィラーを除く機能を使うだけで、文章がしっかり整うケースもありました。人によって癖があるのですが、それでもさほど大きな修正なく文章にすることができました」と札幌市議会事務局 議事課 議事係 吉田 亮太氏は語る。

 こうした評価を踏まえ、同局はRECAIUSを正式に導入することを決定した。

導入の効果

作業時間の短縮による働き方の変化

 特別委員会は会期中に8回ほど開かれる。毎回特別委員会が終わる午後4時頃から5人の担当職員が、2~3時間かけて発言記録を書き起こす。長い発言には時間がかかり、職員の書き起こすスピードも違うので、5人で助け合いながら、その日のうちに必ず書き起こしを終わらせるようにしていた。

 「私が議員の発言ごとにRECAIUSで書き起こしたテキストをWordに貼り付け、それを別の職員が手直しして発言記録を完成させるという流れ作業にしました。最初にそれでやってみたところ、うまくいったので、それからはこの方法で作業をしています」(澁谷氏)。今までは職員ごとに担当議員を決め、書き起こした発言記録を委員長の報告をまとめる担当職員に渡していた。そのため、委員長報告を作成する担当職員は書き起こしが終わるまで長時間待たなければならなかった。「今までは書き起こしから整文までには議員の発言の倍以上の時間がかかっていましたが、RECAIUSを使うことで、発言時間と同程度の時間で終わるようになりました。発言時間が50分だった場合、RECAIUSを使うことで、25分で書き起こされます。この間は別の作業時間に充てることができ、従来は100分かかっていた作業が、整文をする50分でできあがります」(吉田氏)

 委員会は開会後、休憩を挟んで、閉会する。休憩時間に議員の発言が記録されているSDカードを入れ替えて、前半の審議の部分は後半の委員会が行われている間に、RECAIUSで書き起こしを行う。委員会が終了してから後半分の書き起こしを始めても短時間で書き起こしができるようになり、これによって作業が効率的に進むようになった。

 RECAIUSを使うことで、議会事務局内の作業を効率化した結果、議事係の残業時間は激減し、発言記録を作成する担当職員は、ほぼ定時で帰宅できるようになった。「今、議事課の中では『RECAIUSやって!』が合言葉になっています。個人的には残業が減った分、プライベートに時間を充てられるようになり、働き方に変化が生まれて良かったと思います」(澁谷氏)。

将来の展望

より高い精度での書き起こしの実現に大きな期待

集合写真

(左から)田口 繁治氏、吉田 亮太氏、川村 満氏、澁谷 弥生氏

 「議事録は公開され、半永久的に保存されます。そのため、使う用語の表記ルールが決まっていて、漢字の使い方や送り仮名、あえて漢字をひらがな表記にしたりします。その整文・修文作業は議事録の作成委託業者が担当しています。現在はRECAIUSを活用するところとそうでないところをしっかりと見極める必要がありますが、今後はさらなる効率化が図れるようRECAIUSをカスタマイズしていけると良いですね」(川村氏)。

 議会事務局がRECAIUSのデモの際に他部局の職員に声を掛けたこともあり、RECAIUSを使い始めてから、他の部局からも、書き起こしの精度や必要時間などについて細かな問い合わせを受けるなど、関心が高まっている。東芝のRECAIUSは今後も関係者の働き方を大きく改善していくことだろう。

SOLTION FOCUS

RECAIUS音声書き起こしエディタ

 録音された音声を自動でテキスト化し、書き起こし作業をサポートします。音声認識技術を活用し、自動でテキスト化された状態から書き起こしを始められるため、作業を効率化できます。また、専門用語や固有名詞、一度修正した単語等の読みと表記をユーザー辞書に登録することで、書き起こしの精度を高めることができます。

この記事の内容は2018年9月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、組織名、役職などは取材時のものです。

COMPANY PROFILE

代表者
市長 秋元 克広
所在地
北海道札幌市中央区北1条西2丁目
概要
北海道・石狩平野の南西部に位置し、人口約195万人を超える(北海道の人口の約3割)、全国5番目の都市。
URL
http://www.city.sapporo.jp 別ウィンドウで開きます

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ソリューションのより詳しい情報はこちらから コミュニケーションAI「RECAIUS 音声書き起こしエディタ」