本文へジャンプ
お客さまインタビュー

アパレル・雑貨採寸業務の働き方改革
「RECAIUS™」の活用で業務効率を大幅改善

カンパニー:株式会社 ささげ屋 × ソリューション:ネット相続相談サービス

 衣服・雑貨など、インターネット通販に欠かせない商品情報の制作をしているささげ屋。標準化・効率化が難しい業務の生産性を高めるため、東芝コミュニケーションAI「RECAIUS™」を活用した採寸作業を効率化するアプリを開発。これにより、業務効率が飛躍的に向上し、働き方を含め新たな価値を生んでいる。

衣服・雑貨の寸法や素材などの情報を転記する作業に手間と時間がかかり、スタッフによって作業効率に差があるなど、いくつか課題があった。採寸業務の標準化と生産性の向上で、さらに高品質のサービスを提供できる仕組みを求めていた。

「RECAIUS」の音声認識技術を組み込んだ業務アプリを開発。担当者が採寸結果を声で発するだけで自動的にデータが入力できるようにした。さらに、各採寸箇所をアプリで指示することで業務の標準化も実現。
誰でもベテラン担当者並みの生産性を発揮できるようになり、業務効率がほぼ2倍になった。新たに創出された時間を使って、より多くの作業ができるようになった。

背景

経営課題であった属人的な業務の生産性向上

秋山 宙士 氏

代表取締役社長

秋山 宙士氏

 「ささげ」とは、商品を撮影し画像をレタッチすることで商品写真を完成させる「撮影」、商品を実測してサイズをデータ化したり原産国や素材などの情報を転記する「採寸」、写真だけでは伝わらない商品の魅力や特徴、使い方の提案を伝える「原稿作成」の頭文字をとった造語。大手アパレル通販サイトの社内用語として使われていたが、最近ではEC業界で一般的に使われるようになった。

 採寸業務では、商品の指定部分をメジャーで測ってパソコンに転記し、再び別の箇所を測る……という作業を繰り返す。単純作業のようだが、商品やメーカーによって採寸箇所や採寸数も大きく変わるため標準化が難しく、作業工数が多い。
 「近年、EC・物流業界を中心に“ささげ”が注目を集めています。ニッチな業務ですが、インターネット通販の売り上げに影響する、とても重要な情報をつくる作業です」と代表取締役社長の秋山 宙士氏は語る。

 ささげ屋は、数点のみの撮影代行から月間1万SKU*以上の案件まで、さまざまな運用実績を持ち、数多くの通販サイトの商品情報を作り続けている。「ささげを謳(うた)っていても、撮影やレタッチしか提供できていない企業も少なくありません。また、効率化が優先されて顧客の細かな要望に応えられない企業も多いようです。
当社は設立以来、撮影・採寸・原稿と いう『ささげ業務』全般にわたりノウハウを蓄積しています。さらに、単に作業を代行するだけでなく、経験やノウハウをお客さまに提供することが使命だと考えています。」と秋山氏。そのため、ささげ屋ではスタッフの育成に力を入れている。顧客や業務の理解度が高いスタッフが作業をすることで、高品質のサービス提供につながると考えているのだ。「スタッフの技術力と彼らの努力だけに頼るのではなく、お客さまの要望を叶えながら生産性を向上させる方法がないか、常に考えていました」と秋山氏。

*SKU(Stock Keeping Unit) … 受発注や在庫管理を行うときの最小の管理単位

共創の経緯

発話した音声を採寸業務に使う仕組み作り

 そんな中、「RECAIUS」の存在を知ったという。「たまたま東芝さんと意見交換していたところ、音声認識を使って業務を改善した“陣屋コネクト”さんの事例を耳にしました。このとき、音声を使えば当社の採寸業務を効率化できるのではないかと考えたのです」と秋山氏。採寸の作業効率を向上させるために二人一組で採寸・転記するケースもあるが、その場合、1つの作業に二人が必要になる。作業時間は短縮できても、その分の人的コストがかかってしまうのだ。「音声認識で採寸した情報を入力できれば、入力作業をする人は必要ありません。つまり、二人で作業しているときと同様の生産性を、一人で確保できるのです。音声認識が業務効率化に大いに役立つのではないかと考えました(秋山氏)。」そして、ささげ屋は東芝の音声認識技術を使って採寸業務の効率化を行うため、プロジェクトを立ち上げたのである。

共創のポイント

現場のノウハウと音声認識技術を組み合わせる

加藤 輝真 氏

事業推進室 室長

加藤 輝真氏

 「音声認識を使って採寸データを記録していくためには、アプリを開発する必要があります。そこで、業務の標準化も視野に入れたアプリ開発をしていこうと考えました」と事業推進室・室長 加藤 輝真氏は話す。

  まず検討したのは、コアとなる音声認識エンジン。「採寸データは間違いがあってはならない情報のため、何よりも正確に入力できるシステムを開発する必要があります。当初から実績のあるRECAIUSを使うことを想定していました。RECAIUSは、陣屋コネクトさんのような、多くの事例があり、安心して導入へのステップを考えることができたのです」と秋山氏。

 秋山氏のいうように、東芝には多くの顧客企業とさまざまな仕組みを共創してきた実績がある。そのノウハウがあれば、システム開発のハードルも大きく下がる。「当社が考えていることを東芝さんに相談したところ、"実現可能"というお墨付きをもらえました。開発する前から、完成できることが明確になっている状態だったので、非常にやりやすかったです」と加藤氏は振り返る。東芝と共にソリューションを共創することを決断した結果、「東芝の技術と当社のノウハウを融合することで、これまでにない全く新しいソリューションが生まれました(秋山氏)。」

共創の効果

生産性向上とコスト削減に大きく貢献、サービス品質の向上にも寄与

五十嵐 健太 氏

事業推進室 五反田データスタジオ
スペシャリスト

五十嵐 健太氏

 ささげ屋と東芝が共創し、採寸業務を効率化するアプリが完成した。メジャーで採寸した箇所名と数値を発話するだけで、計測データがアプリに自動で記録される。これらのデータはCSVファイルで出力できるほか、クライアント企業が指定するWebシステムと連携させれば直接データを転送することも可能だ。また、スマートフォンやタブレット、パソコンなど環境を選ばず動作するように、Webアプリで開発されている。「開発中は、現場の声を聞きながらインターフェースなどを作成していきました。一番苦労したのは、認識精度を高めるという点でした。修正の手間がかからないよう音声認識の精度を限りなく100%に近づけたいと考えていました。当初は、採寸結果が漢数字に変換されてしまったり、精度が思うように上がらなかったりしたのですが、東芝さんに相談し、辞書登録することで解決できました。現在では、かなり高い精度で音声を認識し、記録できるようになっています」と事業推進室・五反田データスタジオ・スペシャリスト 五十嵐 健太氏は語る。

 同ソリューションの開発は進み、現在は現場で検証しながら、さらなる改良をしているところだ。「実際に使ってみたところ、業務効率が格段に上がりました。これまで二人で担当していた採寸・転記の作業が一人でできるようになりました。作業時にキーボードの打ち間違いを気にすることもなく、データもまとめてWebシステムへ登録できるので採寸作業に集中できます。生産性がほぼ2倍になったと思います。本格導入される日が楽しみです」と、採寸スタッフの牧野 裕美氏は評価する。同アプリの使い勝手は現場からも好評のようだ。

 これまでは、採寸箇所の名称(専門用語)や商品ごとにどこを測るのかといった仕様の理解は、現場スタッフが作業に慣れることに頼っていた。このシステムによって、音声認識による採寸情報の記録のほか、採寸業務の標準化も図られた。「商品ごとに採寸箇所の絵型をアプリの画面に表示することで、入社したばかりのスタッフであってもベテラン担当者並みの生産性を実現することが可能となります。また、新商品などが登場した際も、テンプレートを用意すれば、それをすぐに横展開できるのもメリットだと考えています(加藤氏)。」

衣類を採寸しながら「つぶやく」だけでデータ登録、負担軽減・効率化を実現
将来の展望

RECAIUSを活用し、さらなる業務改善を実現

集合写真

(左から)五十嵐 健太氏、牧野 裕美氏、秋山 宙士氏、加藤 輝真氏

 今後の課題は、現場への展開だ。「新しいソリューションの導入は少なからず現場の心理的な抵抗があります。しかし、実際に効果を感じるものであれば、浸透していくはずです。そのため、現場を含めた検証作業を重ね、機能アップを続けています」と秋山氏。これから同アプリの本格導入を検討していくが、現場が率先して使いたくなるようなソリューションを開発していく考えだ。「このアプリを通じてささげ業務全体の効率化を行います。例えば、商品タグを撮影したデータから、生産地や素材などの情報を転記できるようにするなど、機能を追加・強化していきたいですね」と加藤氏。また、秋山氏は「まずは自社で運用し、機能や信頼性を向上させます。そして次の段階として、海外展開を視野に入れた外販も考えています」と将来を見据える。

 ささげ業務の効率化は、EC・物流業界共通の課題だ。このアプリが外販されれば、業界から注目されるのは必至。日本発のソリューションとして世界に旅立つ日もそう遠くはないだろう。東芝と共創したアプリケーションへの期待は大きい。

 「ささげ業務を通じて、日々、多くのデータが作成されています。このデータを蓄積し、分析ソリューションとつなげることで、更に大きな価値が生まれます。これらの情報は、メーカーが経営戦略を立てる際にも活用可能な上、効率化や品質向上、企業の競争力のアップにも使えるはず。つまり、当社のみならず業界全体にもメリットがあると考えています。それを支える東芝の技術はとても重要だと考えています」と秋山氏は評する。

 音声や映像を活用する東芝の「RECAIUS」は、既に多くの現場で活用され始めている。東芝の技術は、これからもさまざまな企業で活用され、多くの人々の役に立っていくだろう。

RECAIUS™ 音声認識サービス「フィールドボイス」

 RECAIUSは、音声や映像から、人の発話や行動の意図・状況を理解し、人の行動を支援するためのフィードバックを返し、暮らし・仕事などのさまざまな場面で、人々の活動をアシストします。その中の音声認識「フィールドボイス」は、先進の音声認識とテキスト分析技術を融合。
 キーワードで全体を見渡し、情報共有を容易にします。スタッフ間の情報共有や個人的なアイデアメモ、両手のふさがることが多いフィールド業務、会議内容の把握など業務効率化に適しており、さまざまなシーンで活用されています。
>>詳しくはこちら

この記事の内容は2018年3月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、組織名、役職などは取材時のものです。

COMPANY PROFILE

会社名
株式会社ささげ屋
創立
2006年4月12日
代表者
代表取締役社長 秋山 宙士
本社所在地
東京都品川区東五反田1-21-9 ウィスタリア東五反田ビル3A
事業概要
ECサイトの運用とそれに伴うバックオフィス業務。PC&モバイルコンテンツの制作 コンピュータソフトウェアの開発。
URL
https://sasageya.co.jp/ 別ウィンドウで開きます

お問い合わせ

ソリューションのより詳しい情報はこちらから 東芝コミュニケーションAI「RECAIUS™」