本文へジャンプ
お客さまインタビュー

相続業務を円滑化し、相続人の満足度を向上
「ネット相続相談サービス」

カンパニー:株式会社 横浜銀行 × ソリューション:ネット相続相談サービス
横浜銀行の写真

 日本最大の地方銀行として名高い横浜銀行は、神奈川県および県下の市町村の多くが利用する指定金融機関として地域の経済を強力に支えている。同行が展開する個人特化型の店舗では、相続に関する相談が数多く寄せられており、それらの相談や手続き業務を円滑に進めるための基盤づくりに着手。その1つの方策として、東芝デジタルソリューションズ(以下、東芝)のコミュニケーションAI「RECAIUS™」による「ネット相続相談サービス」がある。

相続の相談に訪れる方が増加傾向にある中で、状況のヒアリングから必要書類のご案内までに長時間を要することが多かった。相談者の負担の軽減と満足度の向上に加え、相続手続きに不慣れな行員でも相続の相談に対応できるようにするなど、相続業務を円滑に案内できる仕組みを検討することとなった。

コミュニケーションAI「RECAIUS」を用いた、音声対話とシナリオ設計による確実な案内対応を可能にする「ネット相続相談サービス」を導入。これにより、相続手続きに必要な情報や揃えるべき書類まで、店舗を訪れることなく事前に入手できる環境を整備。店舗を訪れる相談者の負担軽減も実現し、相談者と行員双方にメリットのある仕組みを構築した。

導入の背景

高度化・多様化する相続ニーズへの対応強化

 1920年に横浜興信銀行として設立され、2016年には東日本銀行と経営統合することで、コンコルディア・フィナンシャルグループの一員として新たにスタートした株式会社横浜銀行。展開する営業拠点は、無人店舗も含めると622ヶ所、その貸出金は単体で10兆5000億円を超える規模(2017年12月時点)を誇り、さまざまな金融サービスをお客さまに提供している。

 近年は、高齢化社会の進展により、相続ニーズが高度化・多様化しており、その対応強化が求められている。そこで同行ではコンサルティングメニュー、提携外部専門家の拡充、店舗・拠点拡充に伴うコンサルティング人員態勢強化などを営業施策として掲げている。

導入の経緯

増え続ける相続相談への円滑な対応を目指す

片岡 達也 氏

個人営業部
部長

片岡 達也氏

 「当行においても、預金や投資信託などお金にまつわるさまざまな相談が店舗に寄せられますが、特に最近では相続に関する相談で来訪する方が増えています」と個人営業部 部長 片岡 達也氏は現状について語る。「個人特化型の店舗は少数精鋭で運営していることもあり、お客さまをお待たせしないよう、相続に関してスムーズに対応できる環境が求められていました。これがお客さまの満足度を向上させることに繋がると考えました」。相続に関しては、身内の不幸など突発的な状況で落ち込んでいる方も少なくない。そのような状況でも快適に利用できる環境づくりが求められていたのだ。

 「お客さまの目線で考えると、窓口に来ないと手続きができないというのは非常に不便なものです。そこでインターネットを活用して、いつでも相談できる環境を用意したいと考えました」と同部 資産家取引推進企画グループ 副調査役 川口 廣介氏は語る。そこで、行内のシステムを担当する部署などを通じて情報提供を呼び掛け、相続手続きのご案内を円滑に行うことができる仕組みの検討に入った。

導入のポイント

AI技術の活用と実業務の中で磨かれた実績を高く評価

川口 廣介 氏

個人営業部
資産家取引推進企画グループ
副調査役

川口 廣介氏

 そのような折、同行の目に留まったのが、東芝コミュニケーションAI「RECAIUS」を用いた、音声対話とシナリオ設計による案内対応を可能にする「ネット相続相談サービス」だった。「ある展示会で営業から紹介を受け、他行における本ソリューションの導入実績を知りました。まさに私たちが求めていた仕組みでした」と川口氏。金融機関と共同開発したサービスだったため、相続に関するフローなどはすでに整っている状況だった。「枝葉の部分は私たちのフローに沿ったカスタマイズが必要ですが、幹の部分である相続手続きの基本的な流れや必要書類などはどの銀行でも大きくは変わりません。実際の業務で利用されている仕組みがベースとなるため、開発の部分でも大きなアドバンテージになると考えました。他行で実績のある東芝の仕組みなら安心で最適だと判断しました」と川口氏。また、店舗で働く行員にとっても、相続に関する知識習得や実際の業務に活用できる点が高く評価されたという。

 また、検討開始した2015年当時は、ちょうど日本でもFintechが大きな潮流となっており、片岡氏も異なる部署でFintechに関連した業務の経験を持つ。「さまざまな分野でAI活用が進んでおり、お客さま対応や業務効率化などにAIが活用できるという期待が当行にもありました。そんなAIを活用したコミュニケーション環境が整備できるという点も、大きな選定ポイントの1つです」と片岡氏。お客さま対応の業務に人材を再配分していくことが経営のテーマでもあり、ICTを活用した効率化の技術としてAIに大きな可能性を感じていたという。

 そして、Webサイト上で相続に関する相談が可能な「ネット相続相談サービス」が採用されることになったのである。

導入の効果

使い勝手の良い仕組みを実装し、相談業務を効率化

菅原 喜幸 氏

個人営業部
担当部長

菅原 喜幸氏

 同行のWebサイト上にある相続手続きのページから同サービスへアクセスし、音声ナビゲーションに沿って相談内容や必要事項を入力・選択すると、数多くある相続のパターンごとの手続きが案内される。そして、それぞれの手続きに必要な書類が確認できるようになっている。「相続に必要な情報をすべてサービス上でご確認いただき、必要書類をご準備いただいたうえで店舗にご来店いただけるのが理想的ですね」と川口氏。また、新たにカスタマイズした機能として、お客さま対応を行う窓口では、お客さまが事前入力した相談内容を受付番号で呼び出せるようになっている。「せっかくご入力いただいたのに、店舗で再度同じ内容を説明するのはお客さまにとってご負担になります。情報が共有できることは、お客さまと私たち双方に大きなメリットがあります」と同部 担当部長 菅原 喜幸氏は評価する。

 さらに、「事前準備がない状態からヒアリングを始めると、通常では状況の把握からご用意いただく書類の確認まで40~50分程度は必要です。でも、今回のサービスをご利用いただくと5分程度で済みます。事前に必要書類の確認もできるため、何度も足を運んでいただく必要がなくなります。複雑なケースであるほど、お客さまへのご負担を大きく軽減できるのです」と川口氏は評価する。

 また、今回の仕組みで特にこだわったのは、使い勝手だと川口氏は力説する。「試行の段階でお客さまの目線に最も近いパート職員の方に使ってもらい、事前に使い勝手を改善していきました。その結果、スムーズに本番稼働を迎えることができました」。

 相続業務では、普段聞きなれない用語もあるため、相談者はもちろん、行員であってもすぐに判断できないことがある。そこで、用語に対する辞書機能を整備し、質問内容のフィールドに話し言葉で入力すれば、その場で簡単に調べることができる機能を実装した。「システムの根幹がシンプルかつ簡単に操作できるようになっており、表現や言い回しを自動的に判断し、しっかり意図を理解した上で答えを導き出してくれます。UI/UX*などをはじめ東芝のノウハウがしっかり生かされています」と川口氏は使い勝手について高く評価する。なお、音声対話によるコミュニケーション環境が実装されている今回のサービスは、体が不自由な人も含めて今後ますます必要になってくるはずだ。

 相続手続きに不慣れだった行員からも、お客さまの相談にしっかり応対できる環境が整ったと評価の声が上がっているという。「このサービスを利用することで効率化できた時間をお客さま対応に充てられるようになった点も大きな効果です」と菅原氏。さらに、このツールを若い行員の教育にも役立てていきたいという。「相続のパターンによって必要な書類が確認できるだけでなく、教育ツールとして活用することで、行員自体のレベルアップにもつなげていきたいです」と菅原氏は期待を寄せる。

*UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)
・UI … ユーザーの目に触れる表現や操作感
・UX … ユーザーがサービスを通じて得られる体験

ネット相続相談サービス」イメージ図

ネット相続相談サービスのイメージ図
将来の展望

技術の活用で、コンサルティング領域に人的リソースを再配分

集合写真

(左から)川口 廣介氏、片岡 達也氏、菅原 喜幸氏

 同行は、このサービスのプロモーションにさらに力を入れて、認知度を向上させ、利用者を増やしていきたい考えだ。「相続手続きは、身内の方のご不幸などで突然やってくるものです。そんな時に、このサービスを使って迅速にご相談いただけるよう、プロモーションをさらにしっかり行っていきたいですね」(片岡氏)。

 「今後は対面でないといけないものとそうでないものをしっかりと切り分けていくべきだと考えます。そこがコンサルティングの領域であり、必要な人間力を発揮する場面です。そのためにも、AIなどを活用しながら業務の効率化を図り、必要な領域に人材を充てていくことが重要になります。東芝が持つ技術や経験を生かして、さらに使い勝手の良いサービスにしていきたいです。この仕組みは銀行のなかでも他の業務にも応用できる部分があると考えています。また、相続をきっかけに、高齢者やそのお子さまたちとの接点を増やしたいですね」と片岡氏はこれからの展開について語る。

 同行は技術面や他行との取り組みも含めて東芝との情報交換を緊密に行い、さらなる活用につなげていきたい考えだ。これまで培った技術や経験を生かし、同行と東芝はこれからもより良いサービスを生み出していく。

この記事の内容は2017年12月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における主な数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。

COMPANY PROFILE

施設名
株式会社 横浜銀行
創立
1920年12月16日
代表者
代表取締役頭取 川村 健一
本社所在地
神奈川県横浜市西区みなとみらい3-1-1
事業概要
普通銀行業務(預金・貸出・為替)、投資型商品の販売業務、金融商品仲介、相続関連業務、投資銀行業務 など多様化するニーズに対する幅広い金融商品・サービスの提供
URL
http://www.boy.co.jp/ 別ウィンドウで開きます

お問い合わせ

ソリューションのより詳しい情報はこちらから ネット相続相談サービス