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お客さまインタビュー

45万時間の創出
100を超える業務の効率化を実現した「RPA導入支援サービス」

カンパニー:損害保険ジャパン日本興亜株式会社 × ソリューション:「RPA導入支援サービス」

 国内最大規模の損害保険会社である損害保険ジャパン日本興亜株式会社では、2017年度から経営・本社・現場が三位一体となって、“ゼロベースの仕事の棚卸”に取り組んでいる。仕事の棚卸を行う過程でRPAによる定型業務の自動化を進めているが、それに向けたRPA開発から実際の導入、運用支援まで含めてサポートしているのが、東芝デジタルソリューションズ(以下、東芝)の「RPA導入支援サービス」だ。

“ゼロベースの仕事の棚卸”を通じて、“価値創造業務”にシフトしていくことを目指す。金融業界に特有の大量の定型業務に対して、生産性向上に大きく貢献することが期待されたRPAの導入を検討。短期間で効果を創出するにあたり、RPAプロジェクトにおける導入、実装可能なパートナーが必要になった。

東芝の「RPA導入支援サービス」によってRPA開発を効率的に進め、約45万時間の創出に成功。例えば、人事異動の際に多く発生する社宅手配可否の振り分け業務をRPAで作業代替することで業務を平準化させたり、地震や台風のような大規模災害時において大量発生する、お客さまへ保険金をお支払いするために必要な手続きのうち、定型の作業をRPAで代替することで、お客さまへの案内までのリードタイムを大幅に短縮したりしている。

導入の背景

“ゼロベースの仕事の棚卸”を推進

 2014年9月に損害保険ジャパンと日本興亜損害保険が合併して発足した損害保険ジャパン日本興亜株式会社。火災保険や海上保険、傷害保険、自動車保険、自動車損害賠償責任保険などさまざまな損害保険商品を提供しており、国内最大規模を誇る損害保険会社として業界を強力に牽引している。現在は2020年以降に修正連結利益3,000億円以上という「グローバル上場保険会社トップ10水準の規模」を達成するべく中期経営計画を遂行しており、「お客さまの安心・安全・健康に資する最高品質のサービス」実現というグループ経営理念の具現化に向けて「安心・安全・健康のテーマパーク」へのトランスフォーメーションを行っている。

齋藤 隆史氏

業務改革推進部
企画グループ リーダー

齋藤 隆史氏

 そんな同社では、2017年から“ゼロベースの仕事の棚卸”を実施している。これは、「顧客重視・現場主義」「一律の打破」「前例踏襲の打破」の視点で業務改革・改善を全社で実行することで生産性向上を図り、削減した時間を付加価値の高い"価値創造業務"にシフトさせていくのが狙いだ。この全社的な運動の中心を担っているのが、2018年4月より新たに立ち上がった業務改革推進部だ。「以前から各部門で業務改善活動を続けてきましたが、生産性向上施策そのものが部門ごとにサイロ化していました。そこで、ゼロベースの仕事の棚卸という運動の旗振りとともに、生産性向上に向けた各部門の活動をCoE(Center Of Excellence)の形で集約させたのが業務改革推進部です」と語るのは、業務改革推進部 企画グループ リーダー 齋藤 隆史氏だ。

導入の経緯

大量の定型業務効率化への切り札となるRPA

山田 憲治氏

業務改革推進部
企画グループ 課長代理

山田 憲治氏

 ゼロベースの仕事の棚卸とは、旧態依然とした仕事の進め方を抜本的にゼロベースで見直し、業務の断捨離を行うもの。「断捨離によって不要な業務をやめ、コア業務に注力していこうという活動です。そのためには、既存業務の可視化をしっかり行い、不要な業務を見極めていくことが重要です」と齋藤氏。そして、残った業務の改善にむけて、同社が注目した施策のひとつがRPAだった。

 「一般的に金融業界は会社の規模が大きいため、大量の定型業務がいたるところに存在しています。そのため、当初からRPAが生産性向上に大きく寄与すると考えていました」と同グループ 課長代理 山田 憲治氏は振り返る。2017年当初はメガバンクの一部で導入事例があるだけで、そこまで大きな潮流とはなっていなかったが、自社の業務への適用検証とともに、既存システムとの親和性も含めてRPA導入を検討していくことになったという。

導入のポイント

RPA活用に向けた豊富なノウハウが大きな魅力に

 そこで、RPAの導入検討とともに、RPA製品およびパートナー選定に入った山田氏。
RPA製品については、既存システムとの親和性はもちろん、いずれは社内でロボット作成を内製化できるよう、ロボットの扱いやすさもポイントだった。「社内の理解者を増やす意味でも、当初から仕様や運用ルールを固めるのではなく、身近な案件で効果を出しながらプロジェクトを進めていくというやり方を採用しています。製品については、身軽に動かせる端末型で運用を開始し、ある程度の規模になった段階でサーバ型に移行して統制を図っていくことを想定し、双方に対応できるものを選択しました」(山田氏)。

 効果をすぐに出すために、開発を含めた導入支援が可能なパートナーを選ぶことが重要になる。そこで注目したのが、東芝の「RPA導入支援サービス」だった。複数のRPA製品が扱えるだけでなく、RPA活用に関する豊富なノウハウを持っている点に注目した山田氏。「RPAの導入を検討していたときに、東芝から自社の活用事例を教えていただいたおかげで、RPAが向いている業務のイメージがもてました。そのため、東芝であれば有用なアドバイスがいただけると考えました。また、RPAは全社的な生産性向上の施策になるため、しっかりとした体制を準備いただける企業を考えたときに、東芝が最適だと考えました」。

宮田 康宏氏

業務改革推進部
企画グループ 課長代理

宮田 康宏氏

 これまでのプロジェクトへの取り組み姿勢についても好感を持っていたと語るのは、同グループ 課長代理 宮田 康宏氏だ。「以前から東芝と一緒に別のプロジェクトを行ってきましたが、どんなトラブルが生じても、一緒になって現場で泥臭くやってきたという思いがあり、苦しいなかで解決策を見いだしてやり遂げてきた実績があります。東芝と一緒なら"これはいける、きっと大丈夫"と思えるのです」。山田氏も「ロボットの改善活動も含め、本プロジェクトは短期のものではないことから、パートナーの取り組み姿勢はとても重要です。当社と目線を合わせてプロジェクトを推進していただけているということも大きいです」と評価する。

 こうして、RPAの開発から運用までを含めたパートナーとして、東芝が選ばれることになった。

導入の効果

45万時間を創出することに成功

 RPAプロジェクトはゼロベースの仕事の棚卸が前提だ。まず、ユーザー部門でゼロベースの仕事の棚卸に則って業務の可視化・断捨離を行った結果、残った業務をいかに簡素化するかを検討しながら、RPAの活用余地を見極めることになる。その過程でRPA化対象となった業務に対して、東芝と業務改革推進部、そしてユーザー部門が三位一体となって検討を重ね、業務フロー確定後に東芝がロボット開発に着手する流れだ。ユーザー部門へRPAを引き渡し後、改善を加えて最適なRPAへとチューニングしていく。また、稼働状況の監視も東芝が行っており、分析結果をもとに、ユーザー部門に対して改善活動を行っている。

 RPAの改善にあたっては、動画を使ってRPAが画面上でどのように動くのかを記録し、RPAの挙動やエラーメッセージをもとに改善していくことも有効な手段だという。「RPAはデジタルレイバー(仮想知的労働者)とも呼ばれ、新入社員のような存在です。そのため、稼動状況を確認しながら定期的に面談を行い、いい方向に成長してもらうような活動が欠かせません」と宮田氏はそのコツを披露する。なお、RPA開発は、複雑なシナリオや癖のあるシステムを使用するもので2~3か月、簡単なものでは2週間程度でユーザー部門への引き渡しが可能になるという。

 業務改革推進部が発足してから1年足らずで、およそ110の業務に対して200を超えるロボットを開発し、現場の生産性向上に貢献してきた。その結果、価値創造業務にシフトする時間を約45万時間創出している。特に大きく効果が出ているのは、人事異動のタイミングで大量に発生する社宅手配可否の振り分け作業や、地震や台風などの大規模災害においてお客さまへ保険金をお支払するにあたって必要な事務作業に関するRPAだ。「大規模災害対応時では、社内オンラインでひたすら契約番号を検索して契約情報を印刷する作業をRPAで代替して効率化しました。また、上記のような単純なシナリオであれば、短期間のうちに多くのRPAが開発できたこともあり、他の単純作業への展開が迅速にできました。そのおかげで、ユーザー部門から非常に喜ばれるとともに、RPAの認知度も大きく上がりました。これは、RPA開発のノウハウを持っている東芝だからこそ対応できたと思います」と宮田氏は評価する。

 また、満期返戻金手続きの案内など、従来は営業店を経由して代理店へ依頼していた業務を本社に集約させ、RPAにて代理店に一括送付したり、保険金請求の案内書類の発送指示をRPAで行うようにしたりなど、さまざまな場面でRPAが活用されている。「RPAが作業代替することで従来よりも処理が早くなり、その分お客さまへのご案内がスムーズにできます。RPAはリードタイム短縮に大きく貢献しており、お客さまの満足度向上にも一役買っています」と齋藤氏は評価する。

 東芝は、同社のさまざまなシステムの開発経験があり、保険業務への理解があったことから、開発そのものがスピーディだった点も高く評価されている。「当社の業務知識があるからこそ、短期間のインプットで素早く開発いただけています。エラーハンドリングなどRPAとしてケアすべきポイントもしっかり押さえられています。過去のノウハウを生かし開発していただくことができました」と宮田氏は評価する。また、システムごとの癖をうまく把握しながらロボット開発を実現している東芝の技術力も評価のひとつに挙げている。

 RPAの品質管理については、開発部隊のなかにアーキテクトを設置して開発の作法をチェックする体制をとっている。「当初は品質的に課題のあるものもありましたが、今は東芝の提案でアーキテクトが開発の作法をチェックするような環境が整備されつつあります」と宮田氏は評価する。また運用や管理の面でも参考になる点が多いという。「私たちはシステム部門ではないため、運用面や管理面は不得手です。プロジェクト管理ツールであるRedmineを活用して端末の手配を行ったりリリースを管理したりなど、タスク管理も含めて運用全体を成立させるプロセスを作り上げられたのも、東芝に尽力していただいたおかげです」と宮田氏。

RPAイメージキャラクター“ロボゾー”
将来の展望

RPAの理解を深めながらプロジェクトを推進

集合写真

プロジェクトメンバーの皆様

 今後については、ユーザー部門からの要望に引き続き対応していきながら、RPAの更なる活用領域を探っていく方針だという。「営業現場の業務を本社に集約し、RPAにて作業できる業務をさらに増やしていき、現場における価値創造業務の時間を今以上に創出していきたいですね。また、AI-OCRとの組み合わせにより、新たな活用領域を発掘していきたいと思います」と山田氏は語る。東芝に対しては「業務改革推進部はRPAだけでなく、さまざまなアプローチで改革改善を行っていくチームです。AIなどの技術なども含めて、さまざまな刺激を受けて全社に新しい風を吹かせていくことも重要な役割のひとつ。これからもいろいろな提案をお願いしたいです」と宮田氏は期待を寄せる。なお、部署によってはゼロベースの仕事の棚卸が十分に進んでいない部分もあるため、引き続き啓蒙活動を続けながら、RPA自体を認知させていきたいという。「社内のイントラでRPAがどう動くのかという動画を公開したところ、現場から"この業務を自動化できないか"という意見が出始めています。RPA自体の認知を具体的に広げていくことで、生産性向上に向けた仕事の棚卸をさらに加速させていきたいです」と齋藤氏は語る。

 豊富なノウハウを元にRPAの効果を発揮した東芝と同社の取り組み。今後もさらなる価値創造業務の時間創出を加速させていく。

SOLTION FOCUS

「RPA導入支援サービス」

 各導入フェーズでRPAによる業務自動化に取り組まれているお客さまの課題を解決し、RPA導入を加速し、さらに効果を上げるための支援サービスを提供します。これから導入を検討されているお客さまからすでに導入されているお客さままで、ご要望に応じた支援を提供します。
 東芝の豊富なノウハウを生かしてスムーズなRPA導入が可能になります。

この記事の内容は2019年2月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、組織名、役職などは取材時のものです。

COMPANY PROFILE

会社名
損害保険ジャパン日本興亜株式会社
創立
1888年10月
代表者
代表取締役社長 西澤 敬二
本社所在地
東京都新宿区西新宿1-26-1
事業概要
損害保険事業…損害保険の引受、損害調査および保険金の支払い、新商品の企画・開発、資産運用、国際関連事業、その他各種事業
URL
https://www.sjnk.co.jp/ 別ウィンドウで開きます

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