お客さまインタビュー

わずか3か月で顧客対応の中核を担うお客様センターの基盤を展開
クラウドながら柔軟なカスタマイズに対応できるT-SQUARE®/CT FC Edition

※2023年2月1日より株式会社YKベーキングカンパニーとして利用しています。
※この記事の内容は2020年1月に取材した内容を元に構成しています。
 記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。

カンパニー:株式会社神戸屋 × T-SQUARE®/CT FC Edition

 パンや洋菓子などの製造販売やベーカリーレストランなどを運営する株式会社神戸屋では、顧客や全国の店舗からの問い合わせに応じるお客様センターを設置し、真摯に対応するための環境づくりを進めている。その最前線となる電話受付業務の基盤となるコンタクトセンターソリューションに、東芝デジタルソリューションズ(以下、東芝)が提供する「T-SQUARE/CT FC Edition」が採用されている。

お問い合わせ対応の窓口となるお客様センターでの業務基盤には、長年オンプレミス型のCRMソリューションを活用してきたが、業務の効率化や情報活用の促進、災害対策にも効果的な業務基盤を模索。現場への展開も負担なく行える、柔軟かつ安定した仕組みを検討した。

クラウド環境ながら現場に最適なカスタマイズが可能なCRMソリューション「T-SQUARE/CT FC Edition」によって、システム部門が介在することなく現場での仕組みづくりを実現。わずか3か月足らずで導入できただけでなく、セルフカスタマイズによって展開に必要な手間を削減、安定した問い合わせ対応基盤の運用ができている。

導入の背景

導入の背景:問い合わせ対応の最前線に立つお客様センター

 1918年当時、日本ではまだ珍しかったパンを主食と捉えて製造販売する事業をスタートさせ、2018年には創業100年を迎えた老舗の食品メーカー・株式会社神戸屋。創業以来一貫して“Fresh&Pure”を理念に掲げ、多くのファンを魅了する商品を数多く提供し続けている。4年に1度開催されるクープ・デュ・モンド(ベーカリーワールドカップ)には、同社社員が日本代表の一員として参加、今年1月には日本チームとして世界第2位を獲得するなど、世界に誇る高度な技術力が大きな強みのひとつだ。今では、スーパーマーケットやコンビニエンスストアに並ぶ食パンや菓子パンの他、サンドイッチや洋菓子、デリカ食品を手掛ける食品製造事業をはじめ、駅の構内にベーカリーを展開するフレッシュベーカリー事業、手軽に焼きたてのパンを楽しむための冷凍生地事業、レストランを手掛けるフードサービス事業など、グループ全体でさまざまな事業の展開を進めている。

篠田 究氏

品質保証本部 品質保証部
関西品質管理グループ 課長

篠田 究氏

 そんな同社において、食の安全安心を支えているのが品質保証本部 品質保証部だ。「蛍光X線やFT-IRを使った異物の検査分析をはじめ、微生物検査やアレルギー検査、品質管理基準の策定、各工場における品質検査及び巡回、材料メーカーへの監査などを手掛けており、現在は食品衛生法の一部改正によって対応が求められる食品衛生管理の国際基準であるHACCP対応に向けた活動に注力しています」と説明するのは、同部 関西品質管理グループ 課長 篠田 究氏だ。また、同部において重要な業務のひとつに挙げられるのが、同社への問い合わせ窓口である“お客様センター”の運営だ。このお客様センターは、消費者からの問い合わせに対応するコールセンターとしてだけでなく、取引先である流通事業者からの連絡にも応じる場面もあるなど、外部への対応窓口として中核的な役割を担っている。

導入の経緯

ハードウェアの保守切れによって刷新プロジェクトがスタート

 このお客様センターでは、各種お申し出や問い合わせ、意見など、寄せられたさまざまな声を集約したうえで関連部署へエスカレーションし、集まった声を活用、分析することで、商品開発や営業展開に役立てるなどの活動を行ってきた。当初は紙を使ったアナログな方法が中心だったが、業務の効率化や情報活用の促進を加速させるべく、新たな環境への移行を考えていたという。「アナログ的な手法から脱却することで情報をしっかり管理し、得られた知見を各部署で生かすべく、CRMの仕組みを導入することになったのが今から7年ほど前でした」と管理本部 情報システム部 システム企画グループ 係長 藤井 晃氏は当時を振り返る。

藤井 晃氏

管理本部 情報システム部
企画グループ 係長

藤井 晃氏

 これまで利用していた東芝のCRMソリューションは、問い合わせ情報を関連部署に展開し、その対応状況が把握できる進捗管理機能と、それまで続けてきた紙での運用が踏襲できる、カスタマイズの柔軟さが評価されて選定された。「大掛かりなカスタマイズというよりも、“商品名”ではなく“品名”といった、社内で使われている用語に項目変更するようなシンプルなものが中心です。紙からデジタルに移行する際にも現場の負担が軽減できるものを選択しました」と藤井氏は説明する。その結果、オンプレミスで導入した東芝のCRMソリューションを、長年にわたり安定した環境で利用してきたという。

 そんなお客様センターのCRMソリューションだが、基盤となるハードウェアが保守切れを迎えるため、新たな環境への刷新が必要となったこともあり、改めて新しい仕組みを検討する事になったという。

導入のポイント

短期間での導入が可能なクラウドサービスという選択肢

 新たな環境を検討する過程で同社の目に留まったのが、東芝がクラウドサービスとして提供しているコンタクトセンターソリューション「T-SQUARE/CT FC Edition」だった。「新たにオンプレミスで導入すると、また数年後には入れ替えの手間やコストが発生してしまう。また、近年の各地での大きな地震や台風による災害対策に向けた環境づくりも同時に検討していました。それらを解決するためのツールとしてクラウドサービスであるT-SQUARE/CT FC Editionは、まさに私たちが必要とするものだったのです」と篠田氏。

 クラウドサービスは、導入しやすくサービスの自由度が高いだけでなく、ハードウェアなどの環境整備が必要なオンプレミスと比べ、安価なコストで導入できる点も大きかったという。また、保守期限が迫っていたこともあり、短期間での導入も求められる要件だった。「製品決定後の契約からわずか3か月ほどで本稼働にまでこぎつけられたのは、クラウド環境で利用できるT-SQUARE/CT FC Editionだからこそ」と藤井氏は評価する。

 「他社製品も含めて検討しましたが、価格面や従来の仕組みとは差のあるインターフェースで、当然ながら画面も操作も大きく異なるものでした。これを関連会社や工場なども含めて導入展開していくには、大変な労力と時間を要するのは明らかでした。その点、東芝のT-SQUARE/CT FC Editionであれば、現場に負担をかけずに展開できると考えたのです」と篠田氏は説明する。

萬雲 純氏

品質保証本部 品質保証部
関西品質管理グループ 係長

萬雲 純氏

 一方で、同グループ 係長 萬雲 純氏が高く評価したのは、月額費用のサブスクリプションライセンスのなかで機能強化や改善が進められていくことだった。「時代の変化も考えれば、使っているなかでさまざまな機能追加や改善要望が出てくるのは当然です。T-SQUARE/CT FC Editionであれば、月額費用のなかで機能改善を継続的に実施してくれる。それは弊社にはとても魅力的で、東芝さんを選んだ大きな要因の1つでした」と萬雲氏。

 結果として、お客様センターの新たな業務基盤となるCRMソリューションとして、東芝が提供するT-SQUARE/CT FC Editionが選ばれることになったのである。

導入の効果

現場の運用に適した形でカスタマイズできるクラウドサービス

 現状は、お客様センターに在籍している品質保証本部の担当者が電話を受け、ヒアリング可能な範囲での個人情報や実際の申し出、問い合わせ内容、意見をMicrosoft Azure上で稼働しているT-SQUARE/CT FC Editionに入力。お客様センターに届いた声がすべて集約されることで、日々の問い合わせ情報が一元管理できるようなっている。お客様センターのある大阪府および神奈川県のセンターはもちろん、全国各地のグループ企業からもT-SQUARE/CT FC Editionにアクセスでき、適切なアクセス権を設定しながら関係施設含めてT-SQUARE/CT FC Editionを問い合わせ管理の基盤として活用していることになる。

河野 いづみ氏

品質保証本部 品質保証部
関西品質管理グループ

河野 いづみ氏

 寄せられた問い合わせのなかで営業対応が必要なものは、T-SQUARE/CT FC Editionで営業担当に依頼し、営業がその情報を見たうえで対応状況を適宜入力。また、品質保証本部あてに返送されてきた商品を分析したり、調査を依頼する際のエスカレーション処理をしたりする。「届いた現物を私の方で分析し、その内容を入力して各工場に発信するときや、過去の情報を取り出して案件ごとの進捗管理などに利用しています」と同グループ 河野 いづみ氏は説明する。「お客様から商品についてお気付きの点やご意見があった場合には、どこの工場のどのラインで製造された何の商品なのかが把握できますし、品質保証の視点で現場に対して指導するような使い方もしています」と萬雲氏。なお、T-SQUARE/CT FC Edition内に蓄積された情報は、経営会議や事業本部会議などさまざまな会議ボードでも活用されている。

 T-SQUARE/CT FC Editionはセルフカスタマイズ性に優れており、用語や帳票など現場に合わせたカスタマイズができる。「繁忙期で人的なリソースが割けなかったこともありますが、私がサポートせずとも、ITに詳しくない現場の担当者だけで実際の運用に合った適切なカスタマイズができることに感心しています」と、藤井氏は現場の対応力とソリューションの柔軟性を高く評価する。

 今回、クラウド環境に移行したことで短期間で導入できただけでなく、以前の運用に近い環境を再現することで、展開に必要な教育負担を大きく軽減させることに成功している。「以前導入した時には、各工場・グループ企業へ説明にまわり、大変だったのですが、今回は2回のWeb説明会と電話のやり取りだけで運用を開始。画面も順番に入力するだけのシンプルなもので、簡単なマニュアルで十分対応できました」と篠田氏。以前と比べて、処理時間も大幅に短縮していると河野氏からの評価も高い。「入力している画面がスライドインで横に表示されるため、迷うことなくわかりやすい上、入力項目だけに集中できるなど、直感的にわかり、操作しやすいのは大変ありがたいですね」。

 「365日稼働しているセンターなので、万一の障害時には、ネットワークやクラウド基盤となるMicrosoft Azure、そして実際のアプリケーションと階層別に切り分けていく必要があります。稼働以来安定した運用ができていますが、東芝にはしっかりサポートいただいています。オンプレミス時代の信頼関係が維持できているのは安心感があります」と藤井氏は評価する。

将来の展望

チャットボットによる自動化やRPAなどによる業務の効率化を目指す

 現在は365日稼働ながら、お客様センターの受付時間は17時まで。簡単な問い合わせに対応可能なチャットボットなども検討しながら、いずれは24時間対応できるようにしていきたいという。「私たちの根底には、直接お客さまの声をお聴きして対応したい、いう考え方があります。もちろん、AI的なテクノロジーによる自動化も求められているはずですので、お客さまのユーザビリティに合った環境をご用意し、柔軟に対応していきたいです。そして今後は、このようにマルチチャネルで、いつでも対応できるコンタクトセンターへと進化させていきたい」と萬雲氏は力説する。

 また、システム面では、商品マスター登録の自動化にRPAを検討するなど、さらなる効率化に取り組みたいと藤井氏は語る。業務面では、音声認識技術を活用して利便性をさらに高めていきたいという。「お客さまの声を認識して過去の対応履歴が自動的に表示されたり、会話のなかに商品名が出てきたりしたら、そのキーワードに関連したFAQが自動表示されるなど、新たな機能の実装にも期待を寄せています」と篠田氏。

 食品・消費財メーカーにおけるお客様センターは、顧客対応の最前線に立つ重要な役割を担っており、現在も未来も、市場の変化に柔軟に対応できるよう、迅速かつ安定的な仕組みが望まれている。日本を代表する食品メーカーである神戸屋の安全安心に資する業務基盤を、東芝のソリューションは今後もしっかりと支えていくだろう。

(左から)萬雲 純氏、河野 いづみ氏、藤井 晃氏、篠田 究氏

SOLTION FOCUS

T-SQUARE®/CT FC Edition

長年にわたる豊富なコールセンター導入実績から培ったノウハウを形にしたクラウドサービス型コンタクトセンターソリューション。
シンプルで分かりやすい受付画面、ストレスフリーな操作性、そしてお客様相談室ならではの必要機能や入力項目を標準で装備。
「同じ種類のお問い合わせ、特定のお問い合わせへの対応(アラート検知)」や「お問い合わせ内容と対応状況の推移の把握(時系列管理)」、「品質情報の管理」など必要な機能が標準機能で揃っており、ノンカスタマイズで利用可能。
日本マイクロソフト株式会社のMicrosoft Azure上でのクラウドサービスを提供することで、企業のシステム運用負荷を軽減しつつ可用性の高いサービスを提供している。

この記事の内容は2020年1月に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。

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