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With/Afterコロナ時代がもたらした変化と企業が進むべき道(後編)

テクノロジー、経営
2020年7月31日

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、世界秩序・グローバル経済・社会の枠組み・働き方・人と人の関わり・生活・価値観などにも大きな変化が起こりつつある。この変化と企業が進むべき方向性について、東芝デジタルソリューションズ株式会社(TDSL) IoT技師長 中村 公弘と、同社 ICTソリューション事業部 ソリューションビジネスユニット 統括責任者 甲斐 武博に話を聞いた。
 後編では、新型コロナがもたらすニューノーマルに向けて、東芝グループが提供できる価値について紹介する。        

イメージ:青いビルの写真

■With/Afterコロナ時代に向け、東芝グループが提供できる価値とは?

編集部:まず、TDSLとして、これからどのような価値を社会に提供していきたいと考えていますか。

甲斐:2019年4月、TDSLは“わたしたちのビジョン”と銘打ち、10年後の未来を見据えたビジョンを新たに定めました。それは「やさしく、あたたかなデジタルで社会を豊かにする」というものです。
あわせて、このビジョンに向けた社員の行動指針として4つのアクションを示していますが、今こそこのビジョンを実践していく時だと感じています。その最初のステップが「Imagine:未来の当たり前を想像する」です。
今回の新型コロナが企業に与えた変化において、元に戻る業務と、元に戻らない、あるいは更に変化が加速する業務があり、私たちはニューノーマル時代の“当たり前”を想像し、社会に貢献するソリューションを提供し続けたいと考えております。例えば流通・小売業界では、キャッシュレス化が更に進むでしょうし、製造業ですと、サプライチェーンの見直し・再構築も加速することが予想されます。

■東芝グループが提供できるソリューション群

編集部:東芝が提供できる価値やそのソリューションについて紹介していただけますか。

中村:東芝グループは、製造業として140年以上に亘り培ってきた経験を活かし、「CPS(サイバー・フィジカル・システム)・デジタル技術、商品 + 現場力」によって、持続可能な社会づくりやwithコロナ時代の企業を支えていきたいと考えています。具体的に提供できる価値を大きな軸で整理すると、(1)安全・健康・人を守ることに主眼を置いた「“ニューノーマル”を支える」技術・ソリューション、(2)遠隔化・省人化や自動化・知能化を推し進めるための「デジタルテクノロジーの実装加速」、そして(3)事業オペレーションやサプライチェーンのレジリエンス(堅牢性や弾力性)を確保するための「レジリエントな事業オペレーション」を支援するソリューションなどが挙げられます。
また、時間軸でとらえると、今まさに新型コロナに対峙しながら「リスタート」するために役立つもの、新たな常態「ニューノーマル」に役立つもの、そして「Withコロナ時代のDX」変革を進めるための技術・ソリューションがあります。

編集部:ここでDXというワードが出ましたが、これまでの日本企業のDXの取り組みは効率化や省人化など既存ビジネスの延長線上の取り組みが中心だったと思います。新型コロナの影響で、日本企業のDXの取り組みは本来のDXの目的である変革の方向に変わっていくと考えますか。

中村:人類史学者であるジャレド・ダイアモンド氏の著書「危機と人類」のなかで、危機の“危”は危険なことだが、それをきっかけに“機”とする、つまり変わっていく絶好の機会を与えてくれるというとらえ方が紹介されています。例えば日本は明治維新の際に開国を迫られ、植民地にされかねない危機に直面したわけですが、「選択的変化」(良いものを選択し、変化を選ぶ)によって、危機を乗り越えました。このように、日本には日本が元々持っている良さを残しながらも、西洋の技術や制度・文化などの良いところを学び・選択的に採り入れて近代国家に変わっていったという歴史があります。
今回の新型コロナについても、時代に合わなくなった旧来の制度や業務、ルールを根本から見直していくチャンスだととらえるべきです。With/Afterコロナの世界でも社会に価値を提供し続ける企業を目指すのであれば、変わるべきことを選択的に採り入れていくことが大切なのではないでしょうか。“災い転じて福となす”という言葉がありますが、まさに新型コロナという危機を、DXに向かうきっかけとして、上手に乗り越えていくことが必要だと考えています。

■具体的なソリューションとその役割

編集部:東芝グループとして提供できる具体的なソリューションについて、いくつかピックアップして紹介してもらえますか。

甲斐:製造現場におけるニューノーマルに貢献するソリューションが、「Meister Apps 現場作業見える化パッケージ」です。ビーコンによる位置情報と加速度センサーを利用したAIによる行動推定技術から、業務改善や作業効率の向上に貢献します。更に、現場の密を検知したり、誰と誰がどれくらい近接して作業していたか等を自動的に記録し、履歴を確認することが可能です。また、遠隔地からでもリアルタイムに現場の状況を把握でき、現場に行かずともリモートで音声による作業支援を行うこともできます。
次に、IoT機器やWebサービスをモジュール化し、ユーザーが自由に組み合わせて便利なしくみを簡単に実現することができるIoTプラットフォーム「ifLink」をご紹介します。会員企業から構成される「ifLinkオープンコミュニティ」では、既にifLinkを活用して新型コロナウイルス感染症対策アプリを発案し、実証を行っています。具体的には、スマートフォンが発するBluetoothを検知して近接者をカウントしリスク判定するアプリや、店舗への入店チェックなどに役立つ顔認証技術とサーモグラフィーによる発熱者検知アプリなどです。

また、2020年3月から始まった外出自粛要請期間において、新入社員向けの集合研修に代わる教育機会を提供すべく、6月までeラーニングクラウドサービス「Generalist/LW」の無償提供を行いました。更に、テレワーク導入の基本講座や、Web会議成功の秘訣といった企業におけるニューノーマルに役立つ実践的なコンテンツを随時追加し、3か月間で120社以上の企業からお申し込みをいただきました。
ソフトウェア化が進む自動車業界における分散開発環境として提供しているのが、「分散・連成シミュレーションプラットフォーム VenetDCP」です。これまでは、各ユニットの開発ソフトウェアを持ち寄り、試作車でテストを行うプロセスが一般的だったのですが、このVenetDCPを使うことで、各ユニットの制御信号などを仮想空間上で模擬的に再現することで、リモート環境でサプライヤー間での連成シミュレーションが可能になります。

最後に、レジリエントな事業マネジメントを実現するソリューションとして、サプライチェーン情報を蓄積することでリスクの早期把握を可能にする「戦略調達ソリューション Meister SRM」と、スマートマニュファクチャリングを実現する「ものづくりIoTソリューション Meister Factoryシリーズ」をご紹介します。
コロナ禍において特に製造業では、サプライチェーン寸断で、物資供給途絶リスクが顕在化しました。Meister SRMでは、調達品目毎に一次サプライヤー、その先の二次、三次、四次といったサプライチェーン全体のサプライヤー情報を格納し、特定地域で災害が起きたときに、自社で調達している部品に影響があるか否かを即座に把握することができます。

中村:これらのソリューションは、すでに提供可能なものとして商品化されたものですが、商品化されていない技術や、東芝グループ内の工場で使っている技術なども数多くあり、それらも提供することが可能です。東芝グループが持つソリューションや技術を、多くの方にご利用いただいて、With/Afterコロナに向けた環境づくりにお役立ていただきたいと考えています。

執筆:てんとまる 酒井洋和
  • この記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2020年7月現在のものです。

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