イベントレポート
ロジスティクスソリューションフェア2017

更新日:2017年10月4日

2017年8月29日~30日の二日間にわたり、東京ビッグサイトにて「ロジスティクスソリューションフェア2017」が開催された。ロジスティクス分野の最先端ソリューションが集結し、活発な情報交流が生まれることで毎回好評の同フェア。今回、東芝グループからは東芝デジタルソリューションズ、東芝インフラシステムズ、東芝テック、東芝ロジスティクスの4社が出展した。どのような製品が注目を集めていたのか、東芝グループの展示内容を中心にフェアの様子をお届けする。

各社の優れた技術やアイデアを掛け合わせて、
高度化・多様化するユーザーのニーズに応える

ロジスティクスソリューションフェア2017のテーマは、「持続可能な発展を目指して ~IoT時代におけるロジスティクスの進化~」。EC市場の拡大による流通形態の変化や荷量の増加、慢性的な人材不足といった課題を解決すべく、ロジスティクスの高度化・効率化に関わるさまざまな製品やサービスが会場に集った。

「物流現場のベストマッチ」を追求する東芝グループは、庫内業務の効率化とサービス品質向上に寄与する倉庫管理システム(WMS)「LADOCSuite®」をはじめ、ロボティクス、センサー、IoT技術を駆使した物流センターの自動化・見える化、輸送品質向上ソリューションなど、グループが目指す総合物流ソリューションを厳選して紹介。各社の強みやアイデアを持ち寄った複合展示に、終日多くの来場者で賑わっていた。

東芝デジタルソリューションズおよび、東芝インフラシステムズにてIoT事業開発や自動化システム事業に携わる和田重之氏は、今回のフェアの感触についてこのように述べる。
「出展ブースにお越しいただいたご来場者様は、例年より確実に増えています。具体的なお話をいただくことはもちろん、参考出展の製品に対して、“ぜひ、うちで実験してほしい”と言ってくださるお客様もいました。私たちが取り組んできたことと、物流現場の課題とあっていたのだと感じますね」

出展ブースの様子を眺めていて印象的だったのが、1社の展示だけを見学して終わるのではなく、各社の展示内容を見てまわる来場者が多かったこと。グループとして力を合わせることで、物流現場のニーズに幅広く対応できている点が魅力なのかもしれない。
和田氏も、「ひと昔前は優れた機械、優れたアプリケーションを作るだけでよかった時代でした。しかし今は、ひとつのテクノロジーだけでユーザーの課題を解決することが難しくなっています。私たちの強みは、各社が優れた技術やアイデアを持ち寄って、ベストプラクティスなものをご提案できるところ。グループ企業の有機的なつながりは、今後さらに強めていきたいですね」と話してくれた。
東芝デジタルソリューションズ/ 東芝インフラシステムズ 和田重之氏

それでは、東芝グループ各社の展示の中から、特に注目を集めていたものをいくつか紹介しよう。

東芝デジタルソリューションズ社

倉庫管理システムを軸に、輸送品質向上をサポートする新サービスも登場

LADOCSuite®(倉庫管理システム)


多様化する倉庫・物流業をサポートする本システムは、ロジスティクスの根幹を支えるものと言ってよいだろう。倉庫内業務の効率化、配車計画との連動、配送リードタイムの短縮などを実現できるほか、ロット管理を考慮した入荷処理や出荷処理にも対応する。

中でも今回のフェアで好評だったポイントが、「トラック毎の待ち時間や出荷作業状況の見える化」と、「在庫型(DC)と通過型(TC)の混在運用」だ。
前者は、トラックドライバーの長時間労働の大きな要因とされている「荷待ち」問題に対応するもの。トラック毎の進捗状況を見える化することで、各トラックの待ち時間や出門時刻を考慮した出荷作業計画を組み立てることが可能になる。
後者は、主にEC倉庫において需要が高まっている、在庫型と通過型の両機能を備えた倉庫を実現するもの。さらに、同一配送先の追加オーダーを自動検知して“名寄せ“する機能も配送コストの削減に貢献する仕組みとして、多くの関心を集めていた。

輸送品質見える化・分析クラウドサービス(参考出展)


倉庫内業務の効率化だけでなく、輸送中の業務改善や品質向上を実現すべく、現在開発中のサービス。温度・湿度・衝撃を観測できるセンサーデバイスをトラックに取り付けて、輸送品質を可視化。しきい値を設定すれば、逸脱した時間や回数を正確に把握することができる。さらに、運転日報をデータ化して組み合わせることで、いつ、どの地点で逸脱が発生したかまでもわかるように。予定外の作業が発生しているルートや配送先を分析し、作業や予定の見直しに役立てることが可能だ。
「輸送業務の可視化にはデジタルタコメーターを活用するケースが多いのですが、複数の輸送業者を活用しているお客様だと、業者によって抽出されるデータが違っていたり、運転日報のフォーマットがバラバラだったりして、輸送品質を俯瞰することが難しかったのです。この製品なら、車輌や機種に依存することなく、輸送会社の壁を超えてデータを細かく分析することができます」(製品担当)

なお、同サービスは2017年11月開催の「TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2017」にも出展する予定。製品化に向けた今後の動きに注目したい。

東芝インフラシステムズ

作業負荷をかけずに、高品質なデータを収集可能

貨物・カゴ車トレースソリューション(参考出展)


RFIDが貼付されたカートンやカゴ車を作業中に自動認識し、各貨物がどの輸送機材や車輌に積載されたのかを追跡することで、「タイムリーなデータ化」を実現するシステム。作業者に負荷をかけることなくデータを収集するため、入力忘れや多忙によるデータの欠落や、後でまとめてデータ入力したことによるタイムラグなどを解消し、高品質なデータを入手できる。また、予定情報と組み合わせることで、誤積載や誤配送の防止に活用することも可能。

「コンセプトは、“作業を楽に確実に、追加の作業をさせない”ということ。データ収集のために作業者の手数が増えると、ただでさえ忙しい現場にさらなる負荷をかけることになってしまいます。作業者には意識せず作業をしていただくだけで、自動で正確なデータが取れる。それがこのソリューションの価値だと思います」(製品担当)

クールボックス無線管理ソリューション(参考出展)


低音輸送機材の所在管理やステータス管理を可能にするシステム。拠点内での温度状況を定期的にチェックし、温度異常があれば即時にメール通知することで、安定したコールドチェーンロジスティクスを実現する。また、拠点別に輸送機材の保有量や使用状況をチェック。機材が余っている拠点や足りていない拠点を可視化することで、輸送機材の最適化を図ることができる。さらに、ランニングコストにも配慮しているのが同製品の特徴だ。

「お客様にヒアリングする中で、“この手のIoTは月額の通信料がけっこうかかる”という悩みをお聞きすることがよくありました。そこで、必要なタイミングで必要なデータだけをクラウドに上げる仕組みにすることで、データ通信量や電池の消耗を抑えました」と製品担当は語ってくれた。

東芝テック

RFIDを活用した作業効率改善システムが、アパレル業界を中心に好評!

RFID探索機能付きハンドリーダー


流通・アパレル業で日々欠かすことのできない入出荷業務や棚卸業務を、小型化・軽量化されたハンドリーダーで効率的に作業することができる。指向性のあるアンテナを搭載しているため、複数のRFIDタグから特定のタグだけを迅速に探索することも可能だ。
「たとえば、ある靴のサイズ違いや色違いを探したいときに、いちいち目視で確認することなく簡単に探し出すことができます」と製品担当。

同製品はAndroid端末やiOS端末を制御部に使用できるため、導入コストの削減にもつながる。

RFID 検品大助+映像検索システム


スーパーマーケットなどのPOSレジと同様のスムーズな操作性で、高評価を得ている同社の検品システム「検品大助」が、2017年7月にリニューアル。RFID対応にしたことで入出庫時の一括検品が可能になり、作業工数のさらなる低減に貢献する。さらに、梱包作業の映像を録画しておくことで、出荷物に関する問い合わせ対応時に、作業内容を参照できるように。サービス品質改善や顧客満足度の向上も見込める。

同フェアの来場者数は前回を上回り、二日間で15,450名が来場。あらためて、物流ソリューションへの需要が高まっていることを感じさせるイベントであった。日々、物流現場に携わる東芝インフラシステムズの製品担当も「社会的な関心が強く、お問い合わせ自体も確実に増えています。あとは、お客様の要望を我々がどこまで製品に落とし込めるか。まさに勝負の時だと思っています」と語るように、この変革期をチャンスと捉え、課題解決に向けた新しいイノベーションが生まれることに期待したい。

なお、東芝グループの展示物についてより詳しい情報を知りたい方は、下記の資料を参照していただきたい。