代表取締役
仲田正利 様(中)
営業部課長
長瀬徹哉 様(左から二人目)
営業部
早川浩平 様(左)
株式会社ベスト・システム・リサーチ
代表取締役社長
田代浩一 様(右から二人目)
株式会社ベスト・システム・リサーチ
森田結実 様(右)
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日用品から先端技術まで幅広い分野の技術情報を網羅する特許情報は、日本国内だけでも年間36万件以上が公開されている。これに登録特許、実用新案や意匠、商標なども含めると、毎年90万件前後のデータが知的財産の新しい情報として特許庁から公報として発行されている。自社の技術と類似のものはないか、特許として出願可能か、といったことを企業が調べる場合、1,000万件以上と言われる特許情報の中からそれらの情報を検索し、絞り込んでいかなければならない。その一般的な方法は、特許事務所などに調査を依頼して特許庁のデータを調べてもらうか、商用特許データベースと呼ばれるサービスを利用して調査を行うなどである。日本パテントデータサービスは、「JP-NET」という商用特許データベースを提供する企業の一つだが、早くから月額固定のサービスによって価格モデルに新機軸を打ち出した業界の風雲児だ。この「JP-NET」に英日の翻訳機能を追加し、さらにシェアを伸ばしている。
導入時期
2009年
before
月額固定サービスと高い作業性でシェアを伸ばしてきたが、他社も追従してきており、価格競争以外の差別化要素が必要だった。また、ユーザからもさまざまなリクエストがあり、効率的な機能拡張とユーザへの付加価値の提供を行えるような体制や環境も必要だった。
after
検索機能やレポート出力機能以外に、海外特許公報の検索と翻訳を可能にしたことで、既存ユーザのみならず、これまで導入をためらっていた企業や特許事務所などの契約が増え、市場の新規開拓につながった。
導入背景
特許情報サービスという特殊な市場
代表取締役
仲田正利 様(上)
営業部
課長
長瀬徹哉 様(中)
営業部
早川浩平 様(下)
日本パテントデータサービス(JPDS)という会社は、「JP-NET」という特許情報について独自のデータベース(商用特許データベース)を持ち、その検索サービスを提供している。商用特許データベースは、膨大かつ増え続ける特許公示情報を網羅し、新しく特許を出願する企業などが、類似のものがないか、出願できるかなどを調べるために利用される。あるいは、商品化や自社製品に活用できる特許を探すという目的で利用することもある。この特許情報は、日本国内だけでも年間36万件以上が特許庁から新しく公開される。一般的に、特定分野の特許を検索しようとするだけで、およそ1,000万件もの膨大なデータから目的のものを絞り込んでいかなければならない。検索機能や絞り込み機能、検索スピードなど特別にチューンされたデータベースをサービス各社が提供し、特許情報の検索ビジネスを展開している。
現在、商用特許データベースのサービスはインターネットを利用したASP型、SaaS型のものが一般的である。JPDSは、そのサービスベンダーの一社だが、業界の風雲児ともいえる存在だ。従来、商用特許データベースは、固定費用+従量課金が一般的だった。従量部分には、トランザクション単位、時間単位などバリエーションがあり、サービスによっては通信回線の使用料も加算されるものもある。これは、データベースの特殊性を考えると妥当な面もあるのだが、JP-NETはその常識を打ち破り、1998年に月額8,000円の固定料金でサービスを開始した。このときの業界に与えたインパクトは相当に大きいものだった。
そもそも特許情報の検索は、弁理士など専門の資格とスキルを持ったプロフェッショナルが特許申請やそのほかの業務とともに請け負うもので、情報の検索だけでも時間あたり、1件あたりといった高額な費用が必要となる。前述したように、データベースサービスを利用しても従量課金には変わりはなく、大企業などでは特許情報の調査、検索だけで年間1億円以上を費やすこともある。時間課金のデータベースなど、不用意に使うと100万円単位の費用がすぐにかかってしまうそうだ。そんな話を聞けば、月額固定サービスの衝撃は想像できるだろう。
JPDS代表取締役の仲田正利氏によれば、当初は同業者からこの価格で継続できるかが疑問視されたと言うが、実際には10年以上もこのサービスを続けており、今やJP-NETの契約者数は2300社以上にも上り、月額固定サービスは業界の標準にさえなっている。
このような市場背景の中、JP-NETは2009年11月に海外特許情報の英日自動翻訳サービスの提供を開始した。現在、JP-NET海外特許の月額利用料は5,000円/IDだが、既存ユーザも追加料金なしで翻訳サービスを利用できる。その機能や翻訳サービスを始めた狙いなどはどのようなものなのだろうか。
導入経緯
企業のグローバル展開に必須の
海外特許情報へのアクセス
JP-NETのような月額固定のサービスは、今や業界のスタンダードになりつつあるが、このモデルをいち早く導入したJPDSは、業界のプライスリーダー的な存在でもある。しかし、競合他社も同様のモデルやサービスを展開し始め、市場は活況を呈しながらも、価格だけでは差別化ポイントとして十分でなくなってきているようだ。
株式会社
ベスト・システム・リサーチ
代表取締役社長
田代浩一 様
JP-NETは以前から、目的の情報に早く正確にたどり着くようにサービス機能が設計されており、また各種の表示、出力フォーマットの対応などレポーティング機能も充実させ、検索結果の有効活用を目指している。このためJDPSは、ベスト・システム・リサーチ(BSR)という開発会社で、データベースや検索機能、レポーティング機能などをスピーディな独自開発によって対応している。つまり、サービスベンダーでありながら内部にR&D部門を持っているシステムベンダーでもあると言えるわけだ。このように技術やサービスにこだわる背景には、同社の企業理念が関係している。その一つに「知財立国を支える科学技術に貢献すべく、誠実な特許情報を提供する」(仲田氏)というものがある。「誠実な」の意味は、情報の正確性だけでなく、ユーザが本当に必要としている的確な情報をいかに早く、見やすく提供するかという思いが込められている。
この理念を実現すべく、JP-NETの機能拡張やサービス改善はユーザの声をベースに進められている。営業部課長の長瀬徹哉氏は「特許の公示データは、基本的には特許庁のホームページなどから閲覧することは可能です。しかし、この情報量は膨大で、特許という特質から新しい技術用語、造語なども多く含んでいます。また、特許の概要(Abstract)だけでなく、詳細情報、図面なども調べたいといったニーズが現場では非常に高いと言えます。あるいは、最終的に特許が認められなかったものの審査経緯についても調べたいなど、多様なニーズに日々接しています」と語る。これらの情報を吸い上げ、BSRとともに機能拡張を行っているわけだが、その中で最近増えているのは、海外の特許情報へのアクセスニーズだそうだ。
株式会社
ベスト・システム・リサーチ
森田結実 様
企業のグローバル化は、今や大企業だけの問題ではない。国内市場が低迷する中、海外市場への展開は必須の戦略となっている。例えば、自社製品を海外展開する場合、そこに使われている日本国内の特許は海外でどのような扱いになるのか。あるいは知財保護という側面から、当事国での特許出願なども重要となってくる。海外の特許情報も、その国の当局に問い合わせれば検索や情報へのアクセスは可能であるが、当然日本語ではない。
JP-NETではこのニーズに応えるため、そして、ユーザにより便利な機能を提供してサービスの差別化を図るため、海外の特許情報の検索サービスと英日の自動翻訳機能を2009年11月に開始した。検索可能な海外特許は、米国、欧州、国際公開、中国、韓国、台湾などだ。これらの国の特許情報に検索をかけると、タイトルや概要部分の翻訳画面が表示されるというものだ。
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