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2015年3月26日 最新のユーザーインターフェース実装のプロジェクト
Webアプリケーション開発における標準化で、事業に貢献
テレビの視聴率調査を中心に、生活スタイルや嗜好、購買行動などに関する様々な調査データを提供している株式会社ビデオリサーチ様(以下、ビデオリサーチ様)。様々な調査サービスを共通プラットフォーム上に展開し、新たな価値を生み出すため、システム刷新を計画。東芝ソリューションは、同社のプロジェクトをきっかけに、膨大なデータを扱うWebの使い勝手を高め、顧客満足度向上に繋げるべく、Webアプリケーション開発の標準化に取り組んだ。

Solution

創立50周年に向けて新たな価値を提供する共通プラットフォーム作りを計画

東芝ソリューション株式会社 ソリューションセンター 運輸・情報ソリューション部 情報・通信ソリューション担当 参事 山口 裕之 東芝ソリューション株式会社
ソリューションセンター
運輸・情報ソリューション部
情報・通信ソリューション担当
参事 山口 裕之

 テレビという媒体の客観的な価値指標としての視聴率を核に、様々なメディアにおけるリサーチ事業を中心に、マーケティング活動に役立つ様々な情報を提供し続けるビデオリサーチ様。顧客に新たな価値を提供するための新たな基盤づくりのため、同社の各種サービスの開発に従事してきた複数の企業に声をかけた。「視聴率に関連したシステムを長年ご提供する中で、お客さまが新たな環境を求めていらしたことは十分理解していました。そこで今回は、Windows Server上で稼働させるHyper-Vを仮想化プラットフォームに、DBにはSQL Serverを、運用管理ツールにはSystem Centerを活用するという、Windows環境を中心にした基盤を提案したのです」と語るのは、今回のプロジェクトマネージャを務めた 運輸・情報ソリューション部の山口だ。他のベンダとは一線を画した提案内容であった。「今回は創立50周年という大きなイベントがきっかけとなったプロジェクトでしたので、アクティブな提案が受け入れられました。従来の基盤に比べて大きくコスト削減が可能でしたので、先見性という部分でも高くご評価いただいたと考えています」(山口)。事前にマイクロソフトのコンサルタントとともに、大規模事例も含めた実績や技術的なバックボーンを紹介するなど、様々な情報提供を行い、安心感の創出に努めたという。これらの提案が評価された結果、ビデオリサーチ様が求める基盤作りのパートナーとして東芝ソリューションが選ばれたのである。

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優れたインターフェース実現への挑戦

東芝ソリューション株式会社 ソリューションセンター 運輸・情報ソリューション部 情報・通信ソリューション担当 参事 清水 幸刀 東芝ソリューション株式会社
ソリューションセンター
運輸・情報ソリューション部
情報・通信ソリューション担当
参事 清水 幸刀

 要件定義の初期段階では、集計された情報をいかに見やすく提供できるかというユーザーインターフェースの話題が中心だったと山口は振り返る。「提案段階では世の中一般にある既存のUI部品を利用することで了解を得ていましたが、具体的な検討に入った段階でビデオリサーチ様が求める使いやすい画面と既存のUI部品で提供できる内容に大きな開きがあることがわかりました」。同社の顧客は広告代理店やメディアなどが中心であり、Webの使いやすさが事業に大きく影響する。同社の経営に直結する重要なポイントとなるため、最新の技術を用いた、高いユーザビリティが求められた。

 「お客さまの要望に応えるためにも、既存のUI部品を利用するだけではなく優れたデザインと操作性を実現できるJavaScriptを全面的に採用する方向に舵を切る決断をしました」と山口は決断の理由について言及する。しかし、その方法では工数が想定よりも膨大にかかってしまうため、共通で利用できるよう部品化を意識して画面作りを行うこととなった。そこで、最適なUI設計を実現するために東芝ソリューション内でソフトウェア開発技術の共通化や標準化といったフレームワークを構築しているソリューション生産技術部に協力を要請、ビデオリサーチ様の要求に応えることができるプロジェクト体制を築いたのである。

 集計ロジックを中心に担当していた運輸・情報ソリューション部の清水は、画面の仕様を固めていく段階で、仕様への落とし込み方が印象深かったと語る。「従来のアプリケーション開発では、入力パターンに対してどんな出力パターンがあるのかを仕様に落しながらインターフェースをまとめていく手法でした。しかし、調査データの条件設定パターンが限りないほど存在するために、従来の手法ではまとめきることができないと判断しました」(清水)。特に集計条件設定画面は、条件の組み合わせパターンが無数に存在するため、要件定義書の記載内容をビデオリサーチのご担当者様と何度も協議し、決めていった。最終的には、画面全体を通して入力する条件項目、集計結果の出力項目を整理し、項目として漏れなく記載することに焦点を絞り、進めたのである。

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プロトタイピングを取り入れた開発で、納期・品質・コストをクリア

 ビデオリサーチ様では、サービスごとにシステムを部分最適化していた。そのため、提案の段階では各サービスを統合するアーキテクチャ(処理方式)はアウトラインの検討に留めていた。要件定義段階でアーキテクチャを詳細に検討したが、その方式が画面、サーバーロジック、データなどの連携を、レスポンスも確保した上で実現可能か、見極めてから進めたかった。「これまでの開発手法では、アーキテクチャに確証を持たずに膨大なアプリを作ることになりかねないため、アジャイル的な開発手法を取り入れました。事前にお客さまとともに画面の見た目や操作性を確認していくためのプロトタイプを作るという先行開発の方法を採用したのです。つまり、これは私たちのイノベーションですね」と山口。

 そして、同時にプログラミングの品質を担保し、効率的に開発できるよう開発ガイドを作成することも決断。実際、納期通りに収めることが可能か判断するため、代表的なメニューを作成して実際に事前調査(フィジビリティスタディ)を提案、納期と品質、そしてコストのバランスをうまく収めるために、その手法が最適だと判断したのである。そして、月に2〜3回のペースでミーティングを重ねながら、プロトタイプを3ヵ月かけて作成し、検証を行っていった。

 ビデオリサーチ様の求める形に収めるべく、要件定義とプロトタイプ作りを進めていったが、ここで同社からの新たな要望として、当初の要件にはなかったある大項目が追加されることとなった。「新たな仕様追加で、工程を大幅に見直すことになり、急遽社内に掛け合い、開発のための人材集めに奔走しました」(山口)。最終的には100名規模の開発体制を敷くことができたというが、この仕様追加がむしろ効を奏することになる。

 「厳しい条件ではありましたが、納期通りに仕上げるためにビデオリサーチ様のほうでも検証作業など積極的にご協力下さいました。プロジェクト全体での一体感が醸成され、関係者が同じ方向に向って動くことができたため、納期通りに本稼働させることができました」と山口。これまであった集計メニューの項目を減らすことなども、ビデオリサーチ様とともに考えながら進めた。

 「この新たな仕様の追加は、お互いに覚悟を決めた、大きな出来事でした」と当時の状況を山口は振り返る。他にも、品質を担保するために週1〜2回の品質分科会を設け、互いに情報共有しながら進めたことなど、さまざまな出来事すべてがモチベーションの維持に大いに貢献したという。

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標準化に向け、300ページもの開発ガイドを作成

株式会社東芝ソリューション ソリューションセンター ソリューション生産技術部 生産技術担当 主任 川崎 直丸 株式会社東芝ソリューション
ソリューションセンター
ソリューション生産技術部
生産技術担当
主任 川崎 直丸

 Webアプリケーションの開発について川崎は、「特に工夫したのは、詳細な作り込みの部分です。最初はさほど難しくないのではないかと考えていました。しかし、一般的なWebアプリケーションよりも複雑な操作ができるようにしたり、異なるブラウザでも同じ動きができるようにしたりなど、詳細な部分で高度な技術力が求められる場面もありました」。これら詳細部分までプロットタイプ作りの段階でお互いに議論したので、後の開発において品質を担保するために必要不可欠な開発ガイドにその情報を反映することができたのである。「実例を交えながら具体的なサンプルなどソースコードもしっかり記述しました。結果として300ページほどの膨大なものになっています」(川崎)。

 ソリューション生産技術部で川崎の上司にあたる田原は、「私たちの部門は、プロジェクトの技術的な支援をすることだけでなく、社内の標準化についても担っています。今回の開発ガイドについては、社内の他のプロジェクトでも活用できるよう、コストをかけて作りました」。実際には、ビデオリサーチ様が採用したWindowsのプラットフォームだけでなく、オープンソースなど異なる環境でもきちんと利用できるかどうかの検証も行った。「裏側で検証しながら作成していったのですが、これらのノウハウを社内に還元できているのは大きな収穫です」(川崎)。

 インターフェース部分での工夫については、「集計のための条件を設定する画面を左右に分けて、左側は入力フォームが順々に切り替わっていき、右側に入力した条件が表示されていくような機能としました。またある条件を選択すれば、そこに対して制約条件が発生します。その制御についてもロジックに組み込み、それをWebアプリケーションとして画面上で柔軟に動作させるように実装しています」。他にも、抽出結果を可視化するために便利なグラフツールを東芝ソリューションが提案するなど、使いやすさをより高めるよう工夫した。新たな時代に求められるWebアプリケーション開発に取り組むことで、東芝グループのUXデザイン※1の考え方をユーザビリティの向上という観点で実現、そのノウハウの共有にチャレンジしている。

 「今回はシングルソースでの仕組みがベースになりますが、一部異なる情報ソースを活用しているサービスも同一のWebアプリケーションに統合している部分があります。異なるソースを1つの仕組みに乗せて同じインターフェースから抽出できるようにしたのは技術的なノウハウを駆使した部分です」(清水)。あるサービスではシステムの入口によっては入った後の動きを変えなければならないものもあったが、1つのアプリケーションとして異なる動作を統合させた。UXデザインのような顧客視点と、技術的な視点の両方から深く掘り下げているのである。

*1 東芝のUXデザイン:「社会と未来を考える」ことから始め、商品やサービスを通してあるべき姿を創り、「うれしさの循環」を実現します。

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M2MやIoT分野への足がかりに

株式会社東芝ソリューション ソリューションセンター ソリューション生産技術部 生産技術担当 主査 田原 歩 株式会社東芝ソリューション
ソリューションセンター
ソリューション生産技術部
生産技術担当
主査 田原 歩

 ビデオリサーチ様の本稼働後は、トラブルもなく安定したサービス提供することができている。「うれしかったのは、東芝ソリューションのおかげで無事に本稼働を迎えられたという言葉をビデオリサーチ様からいただけたことです。これまで多くのことがありました。100名あまりが一ヶ所に集まって、早朝から深夜まで議論を重ねながら開発を行い、乗り越えることができました。コミュニケーションが闊達に行えるよう意識したことも、プロジェクトが円滑に進んだ1つの要因にもなっています」と山口は語る。

 田原は「今回のプロジェクトでWebアプリケーションのユーザーインターフェースに特化した様々なノウハウを蓄積することができました。東芝ソリューションはM2MやIoTといった分野への注力を進めていますが、これらのノウハウはこのような分野のWebアプリケーション構築に適用できます。今回得たノウハウをベースに、社内共通のフレームワークの整備を加速していきたいですね」と語る。

 東芝ソリューションの技術者たちは、今後も互いの技術とチーム力を大いに発揮し、新たなチャレンジをクリアしていくだろう。


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  • *この記事内容は2015年1月15日に取材した内容を元に構成しています。
    記事内における数値、組織・役職名などは取材時のものです。
  • *本記事に掲載の社名および商品名はそれぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。

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