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導入効果
1日に約240,000枚の情報出力
第2世代オッズボックスの導入当時、阪神競馬場におけるお客様サポートの担当としてシステムのカットオーバーを迎えた、JRAお客様事業部システム統括室統合情報システム課統合情報システム係の竹田祐一郎氏は、次のように語る。
お客様事業部
システム統括室
統合情報システム課
統合情報システム係
竹田祐一郎 様
「いくらシステムの機能が向上したとしても、お客様が操作に戸惑ってしまったのでは意味がありません。第2世代オッズボックスへのリプレースにおいて危惧したのも、まさにその点でした。しかし、良い意味で大きな変化は起こさず、お客様に違和感を与えることなくスムーズに新端末を使っていただくことができました」
実際に第2世代オッズボックスは、1日に24万(端末1台あたりの全国平均約200枚/日)の情報出力の実績を上げており、お客様からも「使い勝手が良くなった」といった声が寄せられるなど、評判は上々の様子である。「幸先の良いスタートを切ることができ、私たちもホッと胸をなでおろしました」と竹田氏は顔をほころばせる。
その一方で大きな成果を上げたのが、運用管理や監視体制の充実である。
「第1世代オッズボックスでは、すべての端末を一台一台回って電源をオン/オフしなければならなかったのですが、第2世代では計算機室に設置されたiOSサーバーから一斉にオン/オフ制御を行うことが可能となりました。セキュリティ強化をはじめ、省電力の観点からも大きなメリットとなっています」と尾ア氏は語る。
また、第2世代オッズボックスでは、先に述べたエラー情報のほか、端末1台ごとの利用状況を統計情報としてセンター側で収集し、分析することが可能となった。
「新たなシステム構築や継続的な拡充については、常に投資効果を念頭に置いておく必要があります。オッズボックスの展開にあたり、その投資効果を検証する上で最も重要となる情報の1つが各端末の利用状況なのです。今後、よりお客様満足度の高いサービスを実現していくためにも、これらの統計情報を積極的に役立てていきたいと考えています」と横田氏は語る。
将来展望
一般メディアでは得られない
“現場”ならではの情報提供を目指す
2010年4月現在、JRAは各地に展開している合計約1200台のオッズボックス端末のうち、システム移行作業は、ほぼ完了した段階にあり残りの数十台についても、近日中に置き換えを完了する計画だ。
そして今後を見据えてJRAは、これらの第2世代オッズボックスによる情報提供サービスの多角化に向けた取り組みも検討している。「現段階では具体的な構想が固まっているわけではありませんが、競馬場やWINSまで足を運んでくださったお客様に対して、テレビ中継やインターネットなどのメディアからは得られない、“現場”だからこそ生きる情報提供のあり方を考えています」と竹田氏。
そして横田氏も、「タッチパネルによる操作画面の使い勝手をはじめ、細かな部分にも、まだまだ改良の余地があると考えています」という。
これらの言葉を受けつつ尾ア氏は、次のように続ける。
「競馬は知れば知るほど非常に奥が深く、ギャンブルとしての枠にとどまるものではありません。誰もが気軽に楽しめるエンターテインメントとして、あるいはヨーロッパやアメリカなどで国際レースも開催される世界的なスポーツイベントとしてなど、さまざま側面を持っています。こうした競馬の面白さを、より多くの人に知っていただくためのコンテンツの拡充や情報提供形態の多様化が、私たちの目標とするところです。そのプラットフォームとして何が使えるかと足元を見渡した時、競馬場やWINSに展開されているオッズボックスが、有力候補の1つとなります。東芝ソリューションには、これまで以上に密着したサポートの提供とともに、良いアイデアをどんどん提案していただきたいと期待しています」
「もちろんITだけでなく、JRAではCLUB KEIBAのコンセプトのもと、さまざまな環境づくりを行っています。例えば、2010年6月にリニューアルオープンする函館競馬場は、スタンドの全面改築を行い、馬場側の観覧席まわりに芝生やウッドデッキを採用し、広々とした爽やかな雰囲気を演出するなど、リゾート地の開放感あふれる競馬場に生まれ変わります。2月27日からは、この新スタンドでの勝馬投票券の発売も開始しました。ぜひ一度ご来場の上、オッズボックスとあわせて競馬を楽しんでいただきたいと思います」と尾ア氏は、多くの競馬ファン、そして将来の競馬ファンに向けて呼びかける。
IP Odds System(iOS)
全国の競馬場や場外勝馬投票券発売所(WINSなど)に約1200台が設置されているオッズボックス。専用のプリペイドカードを用いて、全国10カ所の競馬場で開催されるレースの最新オッズや競走成績をタッチパネル操作で印刷できる情報端末である。従来からの文字放送を受信する第一世代端末に代わり、LANによるIP通信方式でデータを受信する第二世代端末を制御するのが「iOS」である。中央センターに集約されたデータをマルチキャストで各競馬場およびWINSなどへ配信し、リアルタイムな情報提供を可能にしている。また、同時に各端末の監視も行うことができ、状態把握や運用保守にも有用なシステム構築が可能。
COMPANY PROFILE
会社名 | 日本中央競馬会 | |
---|---|---|
創立 | 1954年9月16日 | |
所在地 | 東京都港区西新橋1-1-19 | |
競馬場 | 全国10カ所 | |
理事長 | 土川健之 | |
資本金 | 約49億円 政府全額出資 | |
従業員数 | 約1,800人 | |
URL | http://www.jra.go.jp/ (別ウィンドウで開きます) |
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この記事内容は2010年3月に取材した内容を元に構成しています。記事内における数値データ、組織名、役職などは取材時のものです。