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導入効果
新聞記者にとって「使える」感覚検索とデータベース
記事検索画面で過去記事を検索
東芝ソリューションの提案を受け、2005年9月、同社は「TX1」をベースに紙面データベースの設計・構築に乗り出した。この計画にはインターネット時代を見据えたデジタルデータの整備という目的と同時に、別の目的があった。独自の紙面でなる同社の場合、他に参考になるものが少なく、自社の過去の記事にあたる機会が多いのだ。「記者が感覚的に使えるデータベースにしなければ意味がない」と吉良部長は当初から考えていた。しかし、言うは易く行なうは難しだ。記者によって、記事の記憶のしかたはまちまちだ。紙面上の位置で覚えている、隣の記事の大きな見出しだけを覚えているなど、あいまいな場合も多い。単純なキーワード検索だけでは、ほしい記事を探し出すのは難しい。そこで、紙面をそのままサムネイル
で表示し、文字情報と視覚イメージのどちらでも検索できるようにした。この解決策は、東芝ソリューションが同社の要望に応えるためにこらした工夫のほんの一部だ。「技術的なことには、それほどこだわりはない」と同部長は明かす。ただし、このデータベースに何が必要か考えぬき、必要と判断したことを実現するのには妥協しなかった。さらに、毎日、大量の紙面データが登録されるデータベースへの負担も考慮し、画像データをコンパクトに圧縮する「デジャブ」 というデータ圧縮技術を採用した。「紙面全体のデジタル化に向け、圧縮率の高さと画質や文字の可読性を両立させてほしい」(吉良部長)という同社のニーズは、かなえられた。※1 サムネイル/広告・出版業界の制作過程でイラストやコピーなどの配置を簡単に視覚化したもの。ここでは、多数の画像データを画面上に一覧表示するため縮小した画像のことを指す。
※2 デジャブ/DjVu。従来の画像圧縮技術よりも小さなファイル容量に圧縮する新しい技術。米国AT&Tにより開発され、画像データ内の文字の可読性を損なわず、PDFやJPEGの5〜1000倍の圧縮率を実現する。
将来展望
現場主義の東スポとXMLデータベースの使い方
情報システム部
部長 吉良 輝夫 様
新しい紙面データベースは2006年3月の本番稼働を前に、1月4日の新聞からストックがはじまっている。ひとまず今後5年間分の150万件の蓄積を予定している。当面は、主に紙面づくりのために新聞記者が使う。便利な機能に、記者たちからは早くももっと前の紙面もデータベースにいれて欲しいという要望が出ている。ただし、吉良部長は、記者たちにとって便利になり過ぎることへの警鐘を鳴らすことを忘れない。「新聞記者の仕事は、現場に行くこと、という基本精神は忘れないで欲しい」(吉良部長)。一方、将来的なインターネットでの有料コンテンツ配信計画に関しては、新聞各社とも有料コンテンツビジネスを確立できていない今、慌てて取りかかるつもりはない。しかし、インターネット向けに記事を再編集することは考えていないと断言する。「我々は毎日の紙面づくりに全ての力を注ぎ込んでいます。レイアウトもこれしかないというものだから他の形で外に出すことはない」という吉良部長の言葉には、新聞という形になった「東スポ」に対する自負がにじむ。ウェブコンテンツでも、独特の見出しや大きな写真で読者の心を惹きつけてやまない東スポらしさを、いかに出すか。そのユニークなコンテンツ配信が実現するときには、新聞紙面制作システムで、そして今回の紙面データベース構築で「東スポ」の紙面づくりを支える東芝ソリューションの役割はさらに大きなものになっているかもしれない。
新聞トータルソリューション
コンテンツデータベースシステム
素材管理ソリューション、新聞制作ソリューション、クロスメディアソリューションを柱とし、多様なニーズに自在に対応できる“軸”の通った新聞トータルソリューション。
このソリューションの一部であるコンテンツデータベースシステムが、記者が記事やイメージを高速に検索できるXMLデータベースシステムだ。紙面をそのままサムネイルで表示し、記者が文字情報と視覚イメージのどちらでも検索できるようにした。
<データベースエンジンに「TX1」を採用>
「TX1」は、XMLデータから構造を自動的に抽出して索引化する、構造自動抽出技術「スキーマアナライザ」と、抽出した構造情報と語彙情報を統計的に分析して最適な問い合わせプランを生成する、問い合わせ最適化技術「クエリオプティマイザ」を搭載することにより、大容量データでも高速に検索することができる。
COMPANY PROFILE
会社名 | 東京スポーツ新聞社 | この広告をPDFでダウンロード ■雑誌
日経コンピュータ 2006年4月3日号 日経SYSTEMS 2006年4月号 |
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創立 | 1960年4月1日 | |||
本社 | 東京都江東区越中島2-1-30 | |||
代表 | 代表取締役社長 太刀川 恒夫 | |||
発刊紙 | 東京スポーツ、中京スポーツ、大阪スポーツ、九州スポーツ | |||
発行部数 | 2,424,600部(4紙合計、2005年11月30日現在) | |||
事業 | 東京本社を中心に、5ヵ所の拠点印刷網で全国を夕刊3紙、朝刊1紙でカバーする全国紙を手掛ける。1960年の創刊以来、「ライバルは駅売店などで併売されるお茶やお菓子」というユニークなスタンスで、一貫して宅配よりも即売に主眼をおいた販売体制をとる。また「スポーツ娯楽紙」を標榜し、一面の強烈な見出しを筆頭に独自の切り口による紙面づくりで、数多くの読者から支持と親近感を得ていることでも知られている。 | |||
URL | http://www.tokyo-sports.co.jp/ (別ウィンドウで開きます) |
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この記事内容は2006年3月に取材した内容を元に構成しています。記事内における数値データ、社名、組織名、役職などは取材時のものです。